2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study on verbal communication model construction of the one way in the critical care
Project/Area Number |
26861968
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
阿部 美香 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (90708992)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 偽共感 / 意思疎通困難 / 精神的ケア / 言語コミュニケーション / クリティカルケア / M-GTA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究目的は、クリティカルケア領域において意識障害により意思疎通困難な患者に対して『一方通行の言語コミュニケーション』(以下、声かけ)を行う看護師に、その際の思いや考えを語ってもらい、語りの中からこの現象の構成要素と要素間の関係性を抽出することであった。前年度までの研究成果をもとにインタビューガイドを作成し、クリティカルケア領域で勤務する看護師10名を対象に半構造化面接を行った。データはM‐GTAの手法を用いて分析した。 分析の結果、看護師は意思疎通困難な患者と関わる時、自分が患者の立場だったらどう接して欲しいか考え、意思疎通が図れる患者と区別せず声かけをしていた。自身の声が患者に聞こえているか否かはわからず、声かけしても意識の回復は見込めない病状であろうという考えを持ちつつも、一方で、聴覚は最期まで残ると言われていることを信じ、聞こえていて患者が喜んでいたり、回復を促進する刺激になっていることを願っていた。また、きっと聞こえていると自分に言い聞かせながら続け、声かけすることで患者に対する自身のケア動作が優しくなることを実感した。声かけは患者に接する時の基本的態度と捉えており、声かけしなかった自分に気付いた時は自分を責めていた。 結果には、立場を置き換えて考える、愛他性、自身の苦悩の感情といった要素が含まれており、これらはDavis(1999)が提唱する共感の一部分と類似していた。しかし、共感というものは2者間の相互作用を前提とし、本研究は相互作用が成立しない一方通行の状況を前提としているが、あたかも共感が生じているかのようにみえることから偽の共感、『偽共感』という新たな概念名を考案した。 看護師にとって『偽共感』は、精神的ケアを目的の1つとして実施していることが示唆され、今後の課題として、患者側の捉え方も調査することが必要であると考えられた。
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