2015 Fiscal Year Research-status Report
術後せん妄発症予測スケールの臨床妥当性・実用性の検討
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26861969
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
原沢 のぞみ 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (10623077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 術後せん妄 / 脳血管疾患 / 予測スケール |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経外科病棟を有し、包括支払制度対象・準備病院において、2013年度の脳血管疾患手術件数が10件以上の実績がある全国の752施設に対して、郵送法によるせん妄ケアに関する実態調査を行ったところ、141施設(18.8%)より回答を得られた。 141施設中、リエゾン精神科チームを有する施設が17施設(12.0%)であり、またせん妄評価スケールを使用している施設は19施設(13.5%)であった。 せん妄発症状況については、2015年6月の1か月間の手術件数およびせん妄発生数より、脳血管手術全体442件におけるせん妄発生の件数は44件(10.0%)であった。さらに、せん妄発症に伴うアクシデント件数は、全体で123件発生し、そのうち53.4%がルート類の自己抜去で、転倒転落は33.3%であった。 せん妄ケア状況については、ガイドラインを用いていると回答したのは8施設で、そのほとんどが施設独自で作成したものであった。さらに、せん妄ケアにおける困りごとについては、身体拘束等への倫理的ジレンマが50.4%、せん妄ケアの業務負担が46.8%、せん妄患者の言動・行動に翻弄されるが33.3%等であった。また、実施しているせん妄ケアは、多い順に離床センサー・身体拘束などの安全対策、生活リズムを整えるための活動の促し、家族との時間を過ごしてもらう、ベッド移動による環境調整であった。一方、効果があると感じているケアは、生活リズムを整えるための活動の促し、家族との時間を過ごしてもらうであった。 以上の状況から、せん妄ケアに苦慮している状況はあるが、スケールを用いたせん妄の評価を実施している施設は少ないこと、せん妄ケアとして、様々な介入はしているが、効果があると感じているケアは少ないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた全国対象施設へのせん妄実態調査を実施し、二次調査に向けた準備を進めることができた
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Strategy for Future Research Activity |
脳血管疾患患者の術後せん妄発症予測スケールを用いた患者調査を実施するため、協力可能の返答があった施設の研究協力者との連携を図り、患者調査を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
患者へのスケール妥当性調査の実施が次年度以降であり、交通費や謝金が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者へのスケールを用いた妥当性調査のための物品購入、協力者への謝金、調査時の交通費として使用する。
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