2015 Fiscal Year Research-status Report
老年期うつ病者の「レジリエンス」向上に寄与する治療的看護実践の考案
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26861972
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
田中 浩二 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (40507373)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老年期うつ病 / レジリエンス / ナラティヴ / 治療的看護実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は、老年期うつ病者のレジリエンス向上に寄与する治療的看護実践を考案するための基礎資料として、老年期うつ病者のレジリエンスについて当事者が体験した病いと回復のストーリーから明らかにした。うつ病と診断され、精神科治療を受けている高齢者5名を対象に、参加観察および非構造的面接を行い、Riessmanのナラティヴ研究法に基づいてデータを分析し、学会発表ならびに論文作成を行った。 研究参加者の病いと回復のストーリーを解釈した結果、老年期うつ病者のレジリエンスとして「人生で獲得してきた能力や日常性がよみがえることで生まれる力」「家族からの何気ない気遣いの中で家族との絆を感じる力」「慣れ親しんだ地域との一体感を再確認する力」「罪悪感と折り合い自らの人生を肯定的に統合する力」「孤独の価値を見出す力」「いのちのつながりの中で次世代のいのちを慈しみ希望をたくす力」の6つのテーマが導き出された。本研究で導き出された6つのレジリエンスには、いずれも長年のその人の人生や生活世界が密接に関連していることが考えられた。看護師は老いや死に対する価値観や人間観をもつ中で,老年期うつ病者とともに在ることや対話することを通して,そこに存在するその人の人生に裏打ちされた力に着目することが重要であると考えられた。 さらに、研究参加者を増やし、得られたデータを基に老年期うつ病者のレジリエンスについて分析中である。また同時に精神看護専門看護師、老年看護専門看護師と本研究成果および既存文献の検討を進め、治療的看護実践の方法を考案中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに開設された大学院の教育へのエフォートが高くなっているため、データ分析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
早急に全データの分析を終了し、精神看護専門看護師および老年看護専門看護師と意見交換しながら治療的看護実践の方法を構築する。そして、28年度は構築された治療的看護実践をもとに実践研究を行い、効果を検証する。
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Causes of Carryover |
第1段階の研究のデータ分析が遅れたため、予定していた学会発表や論文化ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額は、第2段階の研究のデータ整理のための人件費、および学会発表、論文化のために使用する。
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Research Products
(3 results)