2016 Fiscal Year Research-status Report
老年期うつ病者の「レジリエンス」向上に寄与する治療的看護実践の考案
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26861972
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
田中 浩二 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (40507373)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 老年期うつ病 / レジリエンス / 回復 / 治療的看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
老年期うつ病者の「レジリエンス」について、Grothberg(1999)が提唱する「I have(環境要因)」「I am(個人内要因)」「I can(獲得要因)」という3つの構成要素の視点から、包括的に明らかにした。「I have」には【信頼できる治療者がいる】など、「I am」には【人生で構築してきたものがある】など、「I can」には【自己の人生や生き方の中で病気をとらえることができる】などのカテゴリーが含まれていた。看護実践としては、急性期には治療者や家族・友人などの親密な人からの情緒的サポートである「I have」を活用しながら、患者が元々もっている気質や長年の人生の文脈の中で培われた内面的な強さである「I am」を見出しつつ、回復に伴って老いや抑うつの受容とそれらをコントロールする力である「I can」が生まれることを支持するという方向性が見出された。 26-28年度の研究成果と既存文献をもとに、以下の項目からなる老年期うつ病者の「レジリエンス」向上に寄与する治療的看護実践の指針を作成した。(1) 抑うつの状態像や症状の程度に応じて、その時期に有効なレジリエンスを活用し、抑うつが緩和するように働きかける。(2) 自殺念慮の有無を確認し、自殺念慮がある場合にはその緩和と自殺防止のためのケアを行う。(3) 患者の訴える身体症状に関心を向け、身体の苦痛が緩和するようにケアを行う。(4) ナラティブアプローチやライフレビューなどの援助技法を活用しながら、患者のスピリチュアリティが高められたり、自我の生涯発達や人生の統合が促進されるように支援する。(5) 患者が自らの症状や生活をマネジメントしながら生きるために必要な力を引き出すことができるように支援する。 29年度は、この指針に基づく実践研究を行い、老年期うつ病者の「レジリエンス」向上に寄与する治療的看護実践の効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
治療的看護実践の指針を考案するために質的研究の対象者を増やして検討を重ねたこと、また、指針の臨床適応性を担保するために検討する時間を要したことなどによって、当初の計画より進捗状況がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
精神科病棟に入院中の老年期うつ病者に対して、作成した治療的看護実践の指針に基づくケアを実践し、評価を行う。実践研究の倫理審査はすでに承認されており、29年度内に成果を出すことができるように介入、データ分析を実施する。
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Causes of Carryover |
質的研究ならびに実践指針の作成に時間を要し、実践研究が実施できなかった。よって、実践研究の成果発表のための経費が次年度使用額として残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実践研究の成果を国際学会ならびに国際誌で発表するために、学会参加費および英文校正費として使用する。
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Research Products
(9 results)