2014 Fiscal Year Research-status Report
在宅認知症高齢者の精神科病院入退院に関わる要因と地域生活支援方法に関する研究
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26861979
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
加賀田 聡子 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (60632429)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 退院 / 認知症病棟 / 精神科病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,在宅認知症高齢者が精神科病院への入退院に関わる要因とその過程および課題を明らかにし,地域生活支援方法を検討することを目的とする.平成26年度では,認知症高齢者の精神科病院からの退院に関する文献検討と認知症病棟または精神科病院に勤務する7名の看護師を対象に認知症高齢者への退院支援のあり方と課題についてインタビューおよび自記式質問紙による予備調査を実施.文献検討では,精神科病院からの退院先は自宅や施設が1割,身体科病院が2~3割であり,家族が希望する退院先は,施設が4割,自宅が3割であった.退院を困難にしている理由は,「BPSD治療の遷延」「基本的日常生活行動の要支援」「施設検索・待機」「家族の退院受容困難」「基本的日常生活行動の要支援」であった.予備調査では,退院支援に関するカンファレンスの回数は,頻回,月1~2回程度と病院によって頻度が異なっていた.退院支援に関する他職種とのカンファレンス状況について,医師・PSW・病棟看護師等の複数の職種で開催されていたが,他職種と話し合う機会が少なく,退院支援に関する検討が十分できないという課題が挙げられた.退院調整役は,ケースワーカーの役割が大きいと回答した病院があった.退院調整看護師が配置されていない病院では,病棟看護師が退院調整を行うため,病棟看護師の負担が大きく退院調整看護師の配置を希望していた.認知症病棟または精神科病院からの退院先は,施設や転院(身体科病院,他の精神科病院)が多く,自宅は少数であり,介護者である家族の意向が影響していた.受け入れ施設がないため入院先で死亡する事例もあった.退院を困難にしている理由は,「施設検索・待機」「認知症高齢者の人へ関わり方や社会資源に関する医療者の知識不足」「ADLの低下」であった.平成27年度では,精神科病院から自宅退院への決定要因と地域支援の在り方に関する調査を予定.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は,地域包括支援センターの職員を対象に,在宅認知症高齢者が精神科病院への入退院に至る過程とその家族の状況について半構造化インタビュー調査を実施する予定であったが,入退院の過程を同時に検討するのではなく,精神科病院からの退院または転院に至る過程に限定した調査を再検討する必要があると判断し,文献検討と予備調査を実施したため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画の遅れを取り戻すために,平成27年度に予定している調査を在宅認知症高齢者における精神科病院から退院に至る過程に限定して着手し,実施する.調査協力者の獲得のために研究者のネットワークを活用し,データ解析については,専門家の協力が得られるように働きかける.
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Causes of Carryover |
平成26年度に計画されていたインタビュー調査をまだ行っていないため,残額が生じている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H26年度に予定していたインタビュー調査を実施するための予算を,平成27年度の予算に繰り越した.その他,情報収集や成果発表のために学会や研究会の参加を予定している.
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