2014 Fiscal Year Research-status Report
誤嚥性肺炎を予防する看護介入のエビデンス構築:次世代型双生児研究法の創出
Project/Area Number |
26861983
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大村 佳代子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30722839)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 公衆衛生看護学 / 地域看護学 / 在宅看護学 / 嚥下機能 / 肺炎予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会において、病状が重症化しやすく長期化しやすい高齢者の健康や人生の質(Quality of Life, QoL)を維持するためには、誤嚥性肺炎の原因となる嚥下障害に対する予防的な看護介入が重要である。本研究では、嚥下機能障害に対する効果的な看護介入に関するエビデンス(科学的根拠)を実証的に確認するために、下記3点に取り組んだ。 第一に、適切なアウトカム指標の選択のために、双生児研究法を用いて、各指標における遺伝・環境要因構造を検討し、適切なアウトカム指標の選択に資する検討を行った。これは既存の嚥下機能の評価指標が、嚥下に関する身体機能(筋力、嚥下反射等)の要素(遺伝要因)と、食物そのものの嚥下しやすさに関連する要素(環境要因)との複合的評価を整理するためである。 第二に、実用性に向けた、より確実で簡易なスクリーニング方法の探索を行った。質問紙票調査のような主観的データと、血液検査や反復嚥下テストなどの客観的データとの遺伝的交絡の有無を検討し、遺伝的な関連を明らかにするための分析を行った。 第三には、実際にどのような介入(すなわち環境要因)が嚥下機能の向上に影響するのかを検討した。本研究においては成人の一卵性双生児ペアを比較し、遺伝要因の交絡を調整してもなお、嚥下機能と有意に関連のある環境要因を探索している。 初年度では、以上の第一~第三段階までの調査を実施し分析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンターが実施する臨床研究の一環で、本研究における調査項目を実施した。対面式で調査を行ったのは、合計26組52名であった。サンプルサイズを増加させるために、すでに臨床研究を受けたふたごのペアに対して、同様の質問紙を郵送し、169組338名より回答を得た。したがって、郵送法による調査が可能な項目については195組390名分の回答が回収された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は第三段階を発展させた第四段階の調査を行う。第三段階の研究には限界があり、食物嗜好性にも遺伝が影響すると報告されているため、観察研究においては、その遺伝の影響は調整できていない。 そこで第四段階として、対照研究における介入効果の実証的研究を行う。本研究では、嚥下機能との関連が考えられる環境要因について、一卵性双生児ペアに介入群と対照群を割り付け、前後比較試験によって介入要因の影響の有無を検証する。現在のところ、第四段階の介入研究に協力可能な成人双生児ペアを62組124名の方より研究協力の意思を確認している。今年度5-6月に郵送調査を行い、データを取りまとめて調査を完了する。 今年度は主に、得られた結果の分析と研究成果の公表に力を入れる予定にしており、調査から携わっている研究員らと引き続き協力しながら、第一~四段階すべての段階における研究成果を学会発表や投稿論文として発表していく予定である。
|
Causes of Carryover |
本科研費を申請した時点では、2014年度11月に行われた国際双生児研究学会において発表するための旅費として申請していた。しかし本調査データの収集が11月時点ではサンプルサイズが小さく、やむなく双生児研究法の別のデータを用いて、嚥下機能とは別のテーマで発表した。そのため、本科研費の執行とはならず、旅費が残った形となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度での調査実施やデータ入力への謝金、および、研究成果の学会発表について大会参加費や往復交通費、英文雑誌への投稿費用や英文校正等に当てる予定である。また、最終年度に余剰が出た場合には、税金の適正利用に貢献するため、返還制度を利用することを考えている。
|
Research Products
(1 results)