2016 Fiscal Year Research-status Report
服薬直接監視下短期化学療法における地域結核患者のQOLの概念モデルの構築と検証
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26861987
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
白谷 佳恵 横浜市立大学, 医学部, 助教 (40724943)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結核 / DOTS / 療養生活 / セルフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦での結核治療方策として用いられるDirectly Observed Treatment, Short-Course (DOTS:直接監視下短期化学療法)は、保健師または看護師による患者の治療中断リスクに応じた段階的な3ステージのDOT(Directly Observed Treatment:直接服薬確認)プログラムからなる。DOTSを受療する結核患者のノンアドヒアランスのリスク要因を検討することを目的とし、国内都市部の32か所の保健所に依頼し、DOTS受療する結核患者を対象として,横断記述調査を実施した.測定変数は服薬アドヒアランス,人口学的特性,疾患及び治療に伴い生じる特性,DOTSによる服薬療養支援の認識とした.分析は,対象概要の記述のほかロジスティック回帰分析を用いてノンアドヒアランスの要因を検討した.倫理的配慮として,研究倫理審査委員会からの承認を得て、対象者の同意を得て実施した.その結果、対象者127人は,年齢63.3±15.8(22-90)歳,98人(77.2%)が男性であり,観察されたノンアドヒアランスの患者は31(24.4%)であった.ノンアドヒアランスのリスク要因は,治療開始後の体調変化における‘悪くなった’(OR: 10.36, 95%CI: 2.36-45.49),及び‘変わらない’(OR: 3.58, 95%CI: 1.17-10.96), また関係者と‘連絡がとれない’ (OR: 3.53, 95%CI: 1.11-11.21)として抽出された.DOTSを受療する結核患者のノンアドヒアランスを防ぐためには,身体状況の医療的管理および‘連絡がとれない’を防ぐためのケアシステムの改善が必要と考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であるDOTSによる服薬療養支援を行う専門職へのインタビューにより検討・作成した調査票により、DOTSによる服薬療養支援を受けて療養する結核患者を対象とした量的・質的横断調査を実施できた。その結果として、DOTSによる服薬療養支援により結核患者の心理的成長(Posttraumatic Growth)及び治療アドヒアランスの阻害要因を示し、実践・今後の研究への示唆を得ることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
結核とともに重大である慢性閉塞性呼吸器疾患(Chronic obstructive pulmonary disease: COPD)患者の益々の増加及びそれに伴う医療費の増加を鑑み、COPD患者への支援方策についても検討し、結核・COPD疾患を含めた肺病疾患への包括的アプローチを深化させる。
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Causes of Carryover |
参加予定であった国際学会及び渡航が困難となったことにより、この出張にかかる経費の支出がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに英文校閲が必要となったため、次年度使用額をこの予算に充当していく。
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