2017 Fiscal Year Research-status Report
飲食店の受動喫煙防止対策実施状況を明らかにする評価ツールの開発
Project/Area Number |
26861992
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬醫 世志子 大阪大学, 医学系研究科, 招へい研究員 (10458474)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 受動喫煙 / 分煙 / 飲食店 / 評価項目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は飲食店の受動喫煙防止対策実施状況を明らかにする評価ツールの開発を4年間で行う予定であった研究である。最終年度の4年目となる今年度は、作成した評価項目の結果が受動喫煙防止対策実施状況を明らかにすることが可能であるか否かを評価するため、質問紙調査(有効回答者数927名)を実施した。 現在、調査結果の詳細な解析を行っているが、現時点では当初予測していた評価項目間での規則性が見出せず、飲食店のタバコ環境を総合的に評価して点数化することが難しい状況である。しかし、調査結果からは受動喫煙防止対策として分煙を行っている店舗であっても、分煙効果判定基準を考慮した喫煙席の位置や空調、吸気口・排気口等、空気の流れを管理している店舗ばかりではなく、受動喫煙防止対策を具体的に明示する必要性があることが浮き彫りとなった。 また、回答者のうち、禁煙/分煙/全席喫煙可の店舗はそれぞれ26.5/18.7/54.7%であったが、将来「禁煙」か「喫煙可」のいずれかを選択する場合、52.4%が「禁煙」を、47.6%が「喫煙可」を希望しており、法律での飲食店の完全禁煙化を望む声は27.8%であった。店舗入口の「禁煙」「分煙」「喫煙可」の表示については、現在表示している店舗は24.1%のみで、求められればすると答えた店舗が42.1%、できれば表示したくない店舗の割合は33.9%であった。 その他、これまでの調査ではあまり調査されていなかった従業員の喫煙状況も調査項目としたが、タバコを吸う従業員がいる飲食店の割合は59.9%で、そのうち89.7%が勤務時間前後や休憩時間中に店舗内で喫煙すると答えており、今回対象となった全店舗のうち、38.4%の店舗で「従業員からタバコの臭いがする」との現状が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究4年目(最終年度)に当たる平成29年度は、実態調査で評価する予定であった評価項目の内容を含む質問紙調査を実施し、その結果をもとにピクトグラムの作成と並行して評価項目の重み付けと分類を行う予定であった。しかし、質問紙調査の結果、当初予測していた評価項目間での規則性が見出せず、飲食店のタバコ環境を総合的に評価して点数化することが現時点では難しい状況である。現在、さらなる解析と新たな視点での評価方法を検討しているが、評価項目の重み付けを行い、総合点を見出す方法を年度内に開発することはできなかった。そのため、現在の進捗状況は「遅れている」と評価する。 総合点を見出すことはできなかったが、これまでの調査ではあまり用いられていない従業員の喫煙状況や詳細な店内構造等といった評価項目により、受動喫煙防止対策実施状況をより明らかにすることができたため、総合点とは異なる形で評価ツールの開発を続けていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は当初4年間で行う予定であったが、受動喫煙防止対策実施状況を総合点で表し、ピクトグラムで表示する当初の計画は、調査の結果により困難となり、4年間で当初の目的を果たすことはできなかった。そのため、研究期間を1年間延長し、評価ツールに準ずる代わりとなる評価方法を見出していきたい。 具体的な方法としては、①現時点の結果を用いた評価結果の表示方法の検討、②現時点の結果を用いて評価項目間の関連性の再検討、③来店客からの評価方法の検討、等を計画している。
|
Causes of Carryover |
調査結果により研究計画の変更と研究期間の延長が必要となった。 そのため、研究終了後、研究結果の公表に使用する予定であった人件費・謝金(校閲費用等:30万)、その他(学会誌投稿料、学会参加費等:50万)と物品費(資料作成、文具等:25万)を次年度の予算として繰り越すこととする。
|