2015 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ農村地域の飲酒実態と介入プログラムの開発に関する研究
Project/Area Number |
26861996
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Research Institution | Naragakuen University |
Principal Investigator |
高橋 里沙 奈良学園大学, 保健医療学部, 助教 (90596206)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケニア / 飲酒 / 減酒 / コミュニティーベース / 農村地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケニアの農村地における飲酒実態の解明と高リスク飲酒者に対するコミュニティーベースの減酒プログラムの開発を目的として調査研究を実施した。今年度は、高リスク飲酒者に対するコミュニティーベースの減酒プログラムを実施した後の、一ヶ月、三ヶ月、六ヶ月評価を実施し減酒プログラムによる介入をしたグループとコントロールグループのその後の飲酒量の変化を追跡評価した。両グループともにベースライン調査時よりも飲酒量の低下を認めたが、介入グループの方が有意に低下しており、介入から時期が経過してもその効果が持続している結果となった。地域の保健局等の協力を得て、CHWによる介入と地域の断酒成功者との交流など、資源も経済的にも持続可能な介入により、減酒効果があることがわかった。 また、昨年度実施した飲酒実態の世帯調査のデータを分析した結果、国の発表している飲酒率よりもはるかに高い飲酒率を示し、多くは密造酒であることが明らかになった。調査対象者の中には、AUDITスコアが依存症を示すレベルの人々も含まれ、地域における飲酒問題の深刻さも明らかになった。関連因子としては、家族や友人などに飲酒者がいる場合、性別や宗教などと関連を示した。これらの情報は地域の保健局も非常に興味を持っており、情報共有と意見交換を行った。 当初の①飲酒実態の解明と②コミュニティーベースの減酒プログラムの開発は達成できたが、初年度の調査がやや遅れて始まったため、介入効果の中長期的な持続性までは評価できなかったため今後の課題とする。また、地域の人々の人間関係や今回明らかになった飲酒する家族や友人の存在の与える影響を考慮して、グループを対象にした介入も効果があるのではないかと考えられた。
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