2015 Fiscal Year Research-status Report
中高年女性における尿失禁予防のための内臓脂肪型肥満改善プログラムの開発
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26861999
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西村 和美 福岡大学, 医学部, 助教 (20535033)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中高年女性 / 生活習慣 / 尿失禁 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、基礎調査で実施した中高年女性の尿失禁と生活習慣との関連について、日本ウエルネス学会の学会誌に論文を投稿した。その後、本調査の倫理審査書類を作成し、研究者の所属する大学の倫理委員会に書類を提出した。 基礎調査は全国の40~74歳の中高年女性1000名を対象とし、自記式質問紙調査を用いて横断調査を実施した。結果は825名より回答があり、このうち775名を有効回答とした。調査結果より、地域在住の40~74歳の女性の41.3%が尿失禁症状を有すること、尿失禁症状を有する者は主観的健康感が低いことが明らかになった。尿失禁症状の有無と生活習慣との関連を分析した結果、症状有群において、生活リズム不規則、食事時間が不規則、就寝前の食事摂取、塩分摂取は濃い味、間食、20歳の時より10㎏以上体重増加の割合が高く、有意差がみられた。また、尿失禁症状の有無を従属変数として、多重ロジスティック回帰分析を行った結果、最終モデルに残った変数は7変数で塩分摂取:濃い味(OR=1.631,p=0.006)、睡眠時間:6時間未満・8時間以上(OR=1.154,p=0.025)、睡眠時間:6時間未満・6時間以上8時間未満(OR=0.194、p=0.158)、婦人科疾患(OR=1.773,p=0.006)、糖尿病の既往(OR=3.560,p=0.001)、頻尿(OR=1.904,p=0.001)、肥満(OR=2.261,p<0.001)であった。 上記の調査結果より、尿失禁と関連がある生活習慣は「食生活習慣」と「睡眠習慣」であることが示唆された。そこで、平成28年度は「食生活習慣」と「睡眠習慣」、内臓脂肪型肥満との関連を明らかにするために体脂肪率、内臓脂肪面積の測定と生活習慣尺度を用いた横断調査を実施し、尿失禁予防のための内臓脂肪型改善プログラムの開発を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年度は基礎調査の論文投稿に時間を要し、本調査の実施に至らなかった。また、大学での業務(講義・実習や委員会業務など)が人員不足で多忙であったため、研究活動に時間を費やすことができなかった。 現在までの進捗状況としては遅れているが、地域在住の中高年女性1000名を対象とした基礎調査で生活習慣との関連など重要な結果も得られ、平成28年度前期に本調査を実施することで、中高年女性が取り組みやすく、継続できる尿失禁予防のための生活習慣改善プログラムの開発につながると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は地域在住の中高年女性を対象とした生活習慣尺度の活用と体脂肪率・内臓脂肪面積の測定を含む横断調査を行い、尿失禁との関係性を分析することで、プログラム前後の客観的な評価指標につながると考える。 今年度は後期に内臓脂肪型肥満改善プログラムの開発ができるように、公衆衛生看護学や排泄ケアの学識者に研究計画に対してスーパーバイズを受ける。プログラム内容決定後は、講師との調整を行っていく。 また、今年度も学会などで得られた結果を社会に広く発信する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は大学業務が人員不足で多忙であり、研究活動に時間を費やすことができなかったため、収支状況に大幅な変更が生じた。 平成28年度は横断調査の実施やプログラムの開発に向けて計画的に研究活動を実施する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度前期は体脂肪計や内臓脂肪計を用いた横断調査を実施する。そのため、医療機器のレンタルや質問紙の通信費を必要とする。 後期のプログラムの開発では、人件費や運営に関する費用を必要とする。また、得られた結果を学会で発表する。
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