2014 Fiscal Year Research-status Report
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26870001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
見附 陽介 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (10584360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 哲学 / 倫理学 / 障害学 / 機能主義社会学 / 身体制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づき、本年度は「身体制度」概念を確立するために、公刊された障害者排除の事例集あるいは自治体などによってホームページ上に公開されている障害者差別事例などに依拠して事例収集を行い、これらの事例に基づいて「身体制度」の所在の解明と働きの分析を行った。具体的には、各事例に基づいて「情報」、「道具」、「他者」という三つの環境と身体との間の機能的不一致に身体制度がいかに関わるかを明らかにした。 その際、身体制度概念の確立は、T.パーソンズなどの機能主義社会学における「役割」概念を身体論的に読み替える作業によってなされた。また役割の遂行を、役割期待に反映された規範に対する同調あるいは離反という観点から分析するのではなく、役割行為を実現する身体の「遂行能力performance-capabilities」の観点から分析することで、社会的環境と身体との間の機能的関係の解明を行った。これらの研究成果は論文として出版されることになった。 他方で上記の研究と並行して身体機能に関する規範的研究も行った。これは具体的には、正義論の文脈における身体と自由との関わりに関する研究として行われ、とくにI.カント、J.ロールズ、A.センの議論に基づいて考察を行った。この研究ではロールズの正義論が、カント由来の自由に対する意志論的アプローチを継承しているために、自由の理解において身体問題が度外視されている点を明らかにし、これに対してセンのケイパビリティ・アプローチが自由を身体との関わりから理解させる議論となっている点を明らかにした。これは学会にて研究報告として発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、身体と社会的環境との間の関係、とりわけ機能的な関係を明らかにし、そこに働いている社会的‐空間的原理を解明することを目的としている。 この目的のもと、本年度は身体と環境の間の関係を解明するための分析概念として「身体制度」概念を確立することを目指したが、これは十分に達成できた。この点から、現在、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、次年度の研究の準備作業として機械に関する社会思想の研究も行い、とくにマルクス機械論の意義の解明に取り組んだ。この研究は次年度へと継続され、テイラー主義/フォーディズムの研究へと繋げられる。 具体的には機械が社会環境へもたらす影響として「標準化」の問題に着目し、これが空間の形成とそこにおける身体の位置づけにどのように関わるかを検討する。これによって本年度に明らかにした身体制度の問題が、工場から都市へ、そして社会的環境一般へと広がる状況を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、注文していた書籍が書店側で入手できなかったなどの状況から生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物件費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)