2016 Fiscal Year Research-status Report
血漿タンパク質LRGの翻訳後修飾に着目した膵癌早期診断マーカーの解析
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26870002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿坂 達彦 北海道大学, 医学研究科, 客員研究員 (40583092)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵癌 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
早期発見が困難で、予後不良な疾患である膵癌に対して、早期診断マーカーの発見が望まれている。申請者らはプロテオミクスの手法を用い、leucine-rich alpha-2-glycoprotein (以下LRG)が膵癌患者血漿中で有意に発現量が増加していることを発見した。また、糖タンパクであるLRGには複数のアイソフォームが存在しており、膵癌に特異的なLRGアイソフォームが存在する可能性がある。 本研究は、血漿タンパク質LRGの翻訳後修飾に注目した膵癌早期マーカーとしての意義を確立する研究で、1. LRGアイソフォームの同定、2. LRGアイソフォーム測定系の確立、3. 臨床検体を用いたLRGアイソフォームの測定とバイオマーカーとしての意義を確立することを目的としている。 現在、膵癌患者の臨床検体を収集し、ELISAの手法を用いて膵癌患者血漿中のLRG全体量の測定を行っている。また、ヒト血漿から免疫沈降でヒト血漿中のLRGの単離を試みている段階である。 今後の予定であるが、ヒト血漿中LRGに結合している糖鎖を酵素で切断して回収し、質量分析の手法を用いて糖鎖構造を同定する。それにより、LRGアイソフォームによる糖鎖の差異を解析する。さらにLRGアイソフォーム測定系を確立し、LRG全体量を測定した検体において、各アイソフォームの比率を測定し、特定のアイソフォーム分画の濃度上昇が膵癌で認められないかを検討する予定である。また、膵癌以外の癌種に関しても血漿中LRG濃度を測定し、他疾患におけるLRG測定の有用性も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
凍結検体を用いて解析を行っていたが、評価対象のLRGが凍結融解により検出が困難な場合が予想以上に多かった。その定量性、再現性の検証に予想以上に時間を要したのに加え、新規の膵癌切除症例が予想以上に少なかった。資料は一期的に解析することが望ましいので、測定の信頼性を検証し、症例の蓄積を待っていた。 さらに、血漿からLRGを単離する作業も困難な状況がつづいており、時間を要している。その後の糖鎖分離、糖鎖解析の手法は確立しているので、速やかにLRG単離を完了させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌の症例数が蓄積されてきたので、予後情報を更新しつつ、予定していた解析を平成29年度に行う。非担癌ボランティアのLRGと比較してカットオフ値を設定し、診断マーカーとしての意義を検討する。また、LRGの翻訳後修飾である糖鎖に注目し、免疫沈降でLRGが単離できた段階で、グライコブロッティングの手法で糖鎖を特異的に分離・回収して糖鎖解析を行い、膵癌患者に特異的なLRGアイソフォームに関する解析・測定系確立も試みる予定である。 また、膵癌以外の癌種に関しても血漿中LRG濃度を測定し、他疾患におけるLRG測定の有用性も検討している。それにより、膵癌のみならず、ひろく癌患者におけるLRGの早期診断マーカーとしての意義も検討する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究計画が予定通り進まず、遅れている状況であり、当初予定していたLRGアイソフォーム同定に必要な物品の購入、解析費用の使用に至らなかったため、次年度使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、遅れていた研究が進み次第、LRGアイソフォーム同定解析に必要な物品の購入や、解析費用に使用する予定である。
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