2014 Fiscal Year Research-status Report
不登校・ひきこもりの長期化事例を訪問支援へつなげる家族支援研究
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26870003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 暢一朗 北海道大学, 保健センター, 講師 (90722091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ひきこもり / 家族支援 / 訪問支援 / コミュニケーション / 葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は長期化事例に見られる支援課題の可視化にかかる調査を行い、平成27年度から実施予定となっている家族支援プログラムの編成を行った。今年度は当初の計画通り、以下の3つの研究テーマについて実施した。 [①長期化している背景の分析]では、11事例16名の当事者家族への調査を行った。その結果、家族による問題理解の抽象化と葛藤回避的コミュニケーションの持続により、問題の長期化につながっていると考えられた。 [②訪問導入までの達成課題の分析]では、16名の当事者家族に加えて、10名のひきこもり支援者への調査を行った。その結果、子どもの否定的反応への対処方法獲得、コミュニケーションが断絶している事例へのコミュニケーション方法の獲得、他の家族成員を支援に巻き込むための関係調整が必要になることがわかった。支援導入にあたり、より能動的に家族が子どもと関わっていくためのスキル獲得を促進する支援プログラムの必要性とその内容について具体化することができた。 [③家族支援教室に向けたスタッフ研修及び家族支援教室の試行]では、スタッフ研修及び打ち合わせを実施したことで、試行プログラムの実施が実現した。全4回のプログラムには、11家族計15名の家族が参加した。参加者及びプログラムを実施した10名のカウンセラーからのフィードバックをもとに、プログラムの改善点を検討することができた。 これらの調査結果及び実践結果をもとに、次年度の全6回のプログラムからなる家族支援教室を実施する基盤を築くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度実施した調査と実践から、ひきこもりの長期化の背景と、支援導入までに必要な達成課題が見えてきた。当初想定した通り、支援につながらないことで状況変化を起こせずに長期化している事例では、コミュニケーションの支援が必要であることが確認できた。 特に、これまで家族には「子どもの声に耳を傾ける。本人の気持ちを理解する。」というように、受け身的な役割を求める支援が一般的であった。しかし、コミュニケーションが断絶した事例や、暴力や暴言等の否定的な反応が見られる事例、支援のことを話題にできない事例では、家族が受け身的に待つだけでは状況が改善せず、家族にとっても不全感が募りながら子どもの状況を見守ることしかできていない現状が確認された。長期化した事例で支援につなぐためには、既存の「聞く」スキルの支援だけではなく、「話す」スキル獲得の支援が不可欠であることがわかった。 家族支援プログラムでは、そうしたスキルを習得するための心理教育や体験型のリハーサルに重点をおいた内容をもとに編成する準備ができた。また、プログラムを運用するカウンセラーの研修体制を体系化していくことも今後の研究意義として見出された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の家族支援教室の試行プログラムは1カ月に1回の頻度で開催したが、次年度は2週間に1回程度の頻度で開催し、短期間で全プログラムを実施することで、スキル獲得の効率向上を図る。さらに、ホームワーク課題を改善し、実生活でもスキルの反復を行えるような工夫を行う。 プログラムを運用するカウンセラーの事前研修と打ち合わせを今年度も実施し、プログラム実施技能の均質化を図り、より充実したプログラムにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
今年度の研究目標が達成できたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は家族支援プログラムの実施が研究の重点課題となるため、プログラム実施に伴う人件費として使用する予定である。
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