2015 Fiscal Year Research-status Report
不登校・ひきこもりの長期化事例を訪問支援へつなげる家族支援研究
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26870003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 暢一朗 北海道大学, 保健センター, 講師 (90722091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グループログラム作成 / プログラム実施 / カウンセラー養成 / プログラム資料作成 / アウトカム測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度に行った調査の結果と家族支援プログラムの試行結果をもとに、2015年度の主な目的である「訪問支援導入のためのコミュニケーションスキルの獲得プログラム構築」を進めた。 その結果、昨年度得られた知見をもとに、ひきこもり支援の専門家とのプログラム編成協議を重ねて、全6回からなる家族支援グループプログラムを作成することができた。プログラム作成にあたっては、家族自身が個々の問題状況を理解し、子どもを支援につなぐために必要な課題を可視化し、そのために必要なコミュニケーションスキルと介入を身につけることができる内容を中心に編成した。2015年度は、プログラムに使用する資料作成およびカウンセラー研修等の準備作業を経て、プログラム参加者を募集した。カウンセラーの研修にあたっては、ひきこもり支援の専門性の習得に加えて、グループプログラムをマネジメントするために必要な専門性の習得に必要な研修も実施した。最終的にはこのプログラムを第1期と第2期の2回実施することができ、計32名が参加した。 プログラムの参加前、終了直後、終了から3ヶ月後の3地点でアウトカム測定を実施した。測定は自由記述と心理測定尺度を用いた。さらに、プログラムに参加したカウンセラーの参与観察報告も収集した。この結果、「コミュニケーションスキルを獲得するまでの体験プロセスの記述」を進めることができた。収集されたデータを通して、プログラム習得が促進された家族と、されなかった家族の体験過程が見えてきた。詳細な記述は次年度の遂行課題として見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は①家族支援グループプログラムを編成し実施できたこと、②プログラムを実施するカウンセラーの養成ができたこと、③計画していた数の参加者が集まったこと、④アウトプット測定が実施できたこと。以上の4点からおおむね当初の計画通り進展できたと判断できる。また、2014年度の成果の一部は2015年度に国内の学会等で発表した。さらに、2015年度までの研究成果は2016年度の国内外の学会で発表が予定されている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は2015年度までの成果をもとに、プログラムの効果の測定および詳細な分析を行う。その準備段階として、調査実施協力者との打ち合わせおよび事前研修を行う。また、調査の対象は家族と支援者に加えて、プログラムを受けた家族の子どもも対象とする予定である。これらの結果をもとに、プログラムの効果汎化を検証し、プログラムの修正や応用を検討していく。また、研究成果を国内外の学会で発表することに加えて、本研究で作成されたプログラムを行う支援者の養成研修を実施していきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた図書購入費用を他の予算費用で賄うことができたため、予算執行額全体で余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施するプログラムのアウトプット測定のための心理測定尺度の購入および研究成果をまとめるための資料収集費として使用する計画である。
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