2014 Fiscal Year Research-status Report
原子炉過酷事故時の炉心溶融回避のための安全系の確実な作動保証に関する研究
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26870005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三輪 修一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00705288)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 気液二相流 / 熱流動 / 流体振動 / 凝縮 / 混相流 / 安全工学 / 流体力学 / 熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,原子炉過酷事故時の炉心溶融回避のための安全系の確実な作動保証を目的として,非常用復水器(IC)と静的格納容器冷却系(PCCS)の作動保証と最適化,及び,沸騰水型炉の事故時に想定される圧力や温度相当での作動試験,流体励振力予測ツールの開発を目的としている.具体的には,高温高圧蒸気が冷却系内において急速に凝縮される際の流体的挙動を解明するため,局所圧力変動や案内ボイド率といったパラメータが測定可能な実験装置を製作し,広範囲におけるデータベース構築を行う.本年度の研究実績は下記の通りである. まず,当該分野における研究動向を把握するため,入念なLiterature Reviewを行い,レビュー論文を執筆した.次に,実験装置建設に伴う成果を下記に記す. (1)管内ボイド率計測装置の開発: ICやPCCS管内にて生じる気液二相流特性を検証するため,インピーダンスボイド率計測器の設計,及び,作製を行った.ボイド率は管内二相流中に存在する空気相の割合を示すパラメーターであり,二相流動特性を検証するにあたり,最も重要なパラメーターである.本装置により,空気-水系における管内ボイド率計測が可能となった.計測に必要な電子回路基盤の製作も完了し,装置の校正テストを行った. (2)管内気液二相流励振力測定ループ設計・建設:安全系において生じる流動現象を再現するための励振力評価試験装置の設計を完了し,建設に着手した.現象をシンプル化するため,U字配管形状の上下対称部位であるエルボー形状に着目し,測定対象とすることとした.データベース構築に必要な計測機器(3軸力覚センサー,圧力計,流量計)や,流動様式可視化を目的としたアクリル配管の作製,ステンレス製配管エルボー部の作製,貯水タンクといった実験ループに必要な機材を揃えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成26年度計画通りに進展しているため,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,北海道大学工学部建物における耐震工事の都合上,実験室移設を余儀なくされたが,再移設完了後の27年度6月には実験ループの取り付けを完了し,冷却系作動実験,及び,データベース構築に着手する予定である.当初の研究計画通り,本年度は広範囲な流動条件における実験を行う.まずは,空気-水系から始め,凝縮現象を除いた二相流動特性を検証する.次に,蒸気源であるボイラーを用いて蒸気-水系の実験を行い,凝縮を伴った励振力評価を行う.以上,2種類の実験により構築されたデータベースを基に,モデル構築,励振力予測ツールの開発を行う予定である.本年度に得られた研究成果は,随時,学術論文や学会発表を通して公開し,国民に還元していく予定である.
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Causes of Carryover |
実験設備を準備するにあたり,インターネットを利用し,なるべく安価な資材を選定するようにした.そうした積み重ねにより生じた630円である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に購入を予定している計測機器,及び,実験室工事費用にあてる予定である.
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