2014 Fiscal Year Research-status Report
医学展示における女性の身体表象の実証的研究―ヨーロッパと日本を事例として―
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26870018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
妙木 忍 北海道大学, 留学生センター, 特任助教 (30718143)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文化資源 / ジェンダー / 医学史 / 余暇の社会史 / 複製身体 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、科学的とされる医学分野において、女性の身体がどのように表象されてきたのかを、ヨーロッパと日本の事例をもとに考察するものである。ヨーロッパに関しては特に、「フローレンティン・ヴィーナス」と呼ばれる女性の解剖学用蝋人形を対象としている。 2014年度は、医学史に関する文献や博物館に関する資料を集め、調査を開始した。 初年度である当該年度は、海外の医学博物館の予備調査をおこなう計画を立てていた。その計画に基づいて、本研究にとって重要な解剖学用蝋人形があるフィレンツェのラ・スぺコラを訪問し、翌年度以降の本格的な調査のための準備をおこなった。また、パリ第五大学医学部のデルマス・オルフィラ・ルヴィエール博物館に所蔵されていた「スピッツナー・コレクション」にも分析対象が含まれているが、移転先のモンペリエ大学医学部の担当者と連絡をとり、翌年度以降の調査のための準備を開始している。 日本における医学模型の展示に関しては、1972年開館(2007年閉館)の元祖国際秘宝館伊勢館に展示されていたムラージュや「胎内十月」の展示に注目している。そのため、日本におけるムラージュの歴史や、かつて開催されていた衛生展覧会についても調べている。 本年度の成果の意義は、予備調査を通して課題や仮説に至る手がかりを得て、国際比較研究への道筋を立てたことである。本年度の成果の重要性は、医学史を通して女性へのまなざしや女性の身体表象を明らかにしていくための理論化の一助となることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医学史の文献調査と海外の医学博物館についての調査を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の2年間は、国内調査を進めるとともに、海外はモンペリエ、ボローニャ、フィレンツェなどの博物館を中心に調査をおこなう。
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Causes of Carryover |
海外での調査が予定回数よりも少なくなったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度は海外調査に力点を置く年度であるとともに、文献調査にも費用を必要としている。
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Remarks |
署名記事: 妙木忍「失われゆく文化遺産、秘宝館」『週刊読書人』2014年5月30日、妙木忍「消えゆく秘宝館 時代を映した鏡」『朝日新聞』2014年6月16日夕刊、妙木忍「残るはわずか1館「秘宝館」消滅の危機!」『新潮45』2015年2月号、妙木忍「アート万華鏡 聖/俗 秘宝館の記憶 信仰とユーモアの世界共存」『北海道新聞』2015年3月30日朝刊。
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