2015 Fiscal Year Research-status Report
医学展示における女性の身体表象の実証的研究―ヨーロッパと日本を事例として―
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26870018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
妙木 忍 北海道大学, 国際本部, 特任助教 (30718143)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文化資源 / ジェンダー / 医学史 / 余暇の社会史 / 複製身体 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医学展示の場を通して女性の身体がどのように構築されてきたのかを、歴史的・実証的に明らかにするものである。そこには、社会史的背景や国による文脈が反映されていると考えられるため、それも併せて研究する。ヨーロッパと日本の事例を分析の対象としている。特にヨーロッパの調査では、「フローレンティン・ヴィーナス」と呼ばれる女性の解剖学用蝋人形を対象とする。 2015年度は、医学史に関する文献を収集するとともに、海外調査を実施した。 ボローニャ大学のパラッツォ・ポッジ博物館を訪問し、資料を収集した。また、かつてパリ第五大学医学部のデルマス・オルフィラ・ルヴィエール博物館に所蔵されていた医学展示群「スピッツナー・コレクション」(現在は一部がモンペリエ大学医学部に所蔵されている)については、過去にブリュッセルの美術館で展覧会が開催されており、当時の展示状況を調べるために美術館を訪問した。当該展覧会のカタログを分析し始めている。 国内では福岡市美術館を訪問し、日本における女性の身体表象についての調査をおこなった。 本年度は昨年度に引き続き、女性の身体の展示についての文献を検討し、イタリアやフランスにおける解剖学用蝋人形の歴史や文化的背景を読み解く作業を続けている。展覧会のカタログなど文化的背景に迫る資料の分析を始めたことも意義の一つである。本年度の研究成果の重要性は、医学史を通して女性の身体へのまなざしがいかに作られていったのかを明らかにするための理論化の一助となったことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実務との関係で、出張に出ることが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査を継続するとともに、国内調査も進め、研究をまとめる。
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Causes of Carryover |
海外での調査が予定回数よりも少なくなったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度は海外調査と国内調査を実施する。
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