2014 Fiscal Year Research-status Report
へき地農山漁村部で自立した生活者を育成する小学校家庭科の可能性
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26870019
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小野 恭子 弘前大学, 教育学部, 講師 (60634558)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生活時間調査 / へき地校 / 小学生 / 家庭科 |
Outline of Annual Research Achievements |
へき地農山漁村部小学校の3校および都市部小学校について,生活時間調査を行いそれぞれの地域における,農村部における子どもの実態子ども達の生活実態を明らかにした。さらにへき地農山漁村部の教師対象に地域性をどのように捉えているのか,子ども達の生活課題は何であるのかについてアンケート調査およびに聞き取り調査を実施した。 へき地農山漁村部のへき地校において,教師は共通の認識と農村部・漁村部ならではの認識が有ることがわかった。へき地校においては,教育活動を行うためには学校と地域の協力が不可欠であることが再度確認され,少人数での教育に対する問題も共通であることがわかった。 一方で,教師が考える地域性と子どもが考える地域性では,相違点もあった。子ども達が生活して感じている不便な点は教師から挙げられなかった。学校生活において把握された生活課題とその原因について,地域の人々の日常生活を理解することで地域性がより明確になり,自立した生活者を育成する授業展開にすることができるといえる。 またへき地農村部の小学5・6年生を対象にし,生活時間調査を用いた家庭科の授業実践を実施した。生活時間調査により児童は自分自身の生活を客観的に振り返ることができ,さらには,都市部とのデーターの比較により地域の影響や保護者の職業の影響を受けていることを再認識した。これを受けて,家族とどのような生活をしていくことが望ましいか考えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
へき地農山漁村部と都市部における小学生の生活時間調査および教師を対象としたへき地の地域性や生活課題に対するアンケート調査および聞き取り調査を実施した。これにより小学生と教師が,生活課題と地域の課題についてどのような意識を持っているか,さらに生活時間調査から,へき地農山漁村部における小学生の生活実態を明らかにすることができ,その成果を東北家庭科研究に投稿した。また農村部の小学校において,「生活時間」を教材とした授業実践を行うことができたが,漁村部の小学校において授業実践を行うことができていない。 また教師に対するアンケート調査および聞き取り調査を実施しているが,事例数が少ないためにさらに,他地域のへき地農山漁村部においても同様の傾向があるかについて,アンケート調査およびインタビュー調査,生活時間調査の実施が必要とされるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に実施できなかった,へき地農山漁村部の漁村部の小学校において,児童の生活時間調査によって得られた行動時間データーを用いて,小学校家庭科における授業実践を行う。これを含めた3校の授業実践より授業映像および児童のワークシートの記述を分析し、より児童が自主的に生活課題を考えられるよう授業計画,教材および教師の手立て等を改善する。改訂した授業計画をもとに、再度大都市部、へき地農山漁村部の小学校2校で授業実践を行う。授業はビデオカメラで撮影するとともにICレコーダーも用いて、教師と児童のやりとり、児童の授業中のつぶやき等を記録する。また授業で使ったワークシートへの記述についても分析し、平成26年度の授業と比較し、どちらの授業計画がより有効であったかを検証する。 再度授業実践校の教師および協力していただける家族に向け、実践校の児童の生活時間調査から、へき地農山漁村部の子どもの課題をどのように捉えるかについて調査する。その上で、事前に行ったアンケート結果での教師がとらえる児童の実態との差異を明らかにし、その要因についてインタビューを行い検証する。 本研究では,へき地農山漁村において地域の特徴を捉え,自ら行動できる自立した生活者の育成を目指している。そのため、児童の「生活時間データー」から児童・教師・家族が地域の特徴を捉えられたのか、生活課題を自主的に見つけることができたのか、解決方法が実践に結びついたのかについて総合的に検証する。
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Causes of Carryover |
都市部における生活時間調査および授業実践が年度末になったため,調査用紙および授業実践データーの入力が遅れている。そのため,謝金等の支払いが次年度になるため。また必要とされる物品購入について,現在購入検討中であり,平成27年度に購入予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
授業映像をより鮮明に撮るための機材および調査に必要な物品の購入,調査および成果発表のための旅費,および調査用紙・授業実践データー入力,得られた調査結果の学会誌投稿料等について支出予定である,
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Research Products
(4 results)