2015 Fiscal Year Research-status Report
池田政権の「対米協調」外交像の再検討―キューバ糖問題を中心に
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26870022
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
ロメロ・ホシノ イサミ 帯広畜産大学, 畜産学部, 講師 (40579471)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キューバ / 池田勇人 / 砂糖 / 対米自主外交 / エルネスト・ゲバラ / 日米関係 / 岸信介 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度において以下の成果があった。 まず平成26年度に外務省史料館で探した史料分析の一部を2015年6月に、専修大学で開催された第36回定期大会で発表した。具体的には、1960年代前半の日本の対キューバ政策を発表した。日本国内のキューバの専門家に適切な批判とコメントをもらった。それを基準に、本研究の分析枠組みを改めて組み立てる予定である。 次に2015年9月の前半を通じて、ワシントンDCにある国立公文書記録管理局に足を運んだ。多くの史料を見つけることができた。その一部の成果を研究論文にまとめ、日本におけるラテンアメリカ研究雑誌に投稿した(現在、査読中)ここでは、池田外交に関する先行研究をまとめ、日本と他国がどのようにキューバと交流したのか比較した。 またメキシコの歴史雑誌『istor』の編集長からオリンピックの歴史に関する特別号の論文の以来を受けた。本研究と関連させるために、1964年の東京オリンピックにおいて池田勇人が果たした影響について書いた。主に池田の経歴、経済政策、外交政策などをまとめ、どのように池田が五輪の成功に貢献したのかを分析した。よって、池田政権全体の構造をまとめることができた。論文は2016年夏に出版される予定である。 続いて、キューバ外務省の外交史料館の館長とコンタクトが取れることができた。その結果、史料を見ることが可能になった。当初、研究計画ではキューバの史料を見ない予定であったが、、これが可能になったことから予定を変えることになった。日・キューバ関係史では前例がない研究になることになった。キューバ出張は2016年度の夏に予定。 最後に日・米で集めた一部の史料の分析を2016年秋に行われる日本国際政治学会で発表する予定である。ここでは1950年代の日本の対ラテンアメリカ政策を取り上げ、その政策におけるキューバの位置、岸信介と池田勇人が描いていた外交像を紹介する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に比べて、平成27年度では多くの史料を分析することができた。その意味で、研究全体は進んでいる。ただし、やや遅れている現状である。 まず砂糖に関する分析は、順調に進んでいるが、まだいくつかの文献を読むが必要がある。特に砂糖業界の論文分析が足りない。 次に、史料分析がやや遅れている。米国での史料調査は、短い期間で多くの史料を見つけることができた。ただし、必要な情報の多くはボストンのケネディー大統領図書館にあるので、それを見ない限りは研究が進まない。2016年夏にボストンに史料調査に行く予定である。史料の量は、多くないと思っているが、多い場合は史料分析が遅れる可能性がある。 またキューバ外務省の史料を見ることが可能になったが、想定していないものであり、史料の量も増えることになった。どの程度、キューバ側が史料を見せてくれるのは不明である。その量によって、史料分析が遅れる可能性がある。 最後に、研究成果の発表は想像していた予定で進めることができ、来年には海外の専門雑誌の投稿と国際大会での発表は可能になると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、日本と米国の史料を中心に分析するのを目的にしている。その目的に向かっていると考えている。ただし、想定していなかったキューバの史料が見れることが可能となった。研究の方向性は変わらないものの、新たな情報を得ることが可能になったことから予定変更することが必要となった。キューバ側、どの程度史料を見せてくれるかは不明であるが、エルネスト・ゲバラの訪日記録、日・キューバ貿易協定の交渉記録、さらにどのように革命政府が日本を見ていたのかがわかれば、研究の重要性が高まり、本研究の目的である池田政権の「対米協調」外交像の再検討に大きな前進ができると考えている。
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Causes of Carryover |
平成27年度では書籍をあまり購入しなかった。また「その他」の金額も使っていない
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この金額を書籍を購入するために使う予定である
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