2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒト関節軟骨細胞におけるIL1B遺伝子発現に関わるDNAメチル化機構の解明
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26870031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 功 東北大学, 大学病院, 助教 (00718497)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 軟骨組織からの核酸抽出技術の確立 / 転写因子、細胞内伝達物質の網羅的発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、変形性関節症で軟骨基質破壊を惹起するインターロイキン-1B(IL1B)の発現が、ヒト関節軟骨細胞内でプロモーター領域のDNAメチル化機構を介して調節されるにあたり、i) どの転写因子の作用がDNAメチル化状態の影響を受けるか、ii) 何がDNAメチル化状態を変化させるかを、DNAメチル化解析や結合タンパク分析などの手法により明らかにすることである。 平成26年度には、『研究課題1. IL1Bプロモーター上で、CpG脱メチル化を介した発現調節に作用する、主たる転写因子の同定』を目標とした実験を行ってきた。具体的には、変形性関節症および健常(大腿骨頚部骨折由来)の軟骨組織を液体窒素で凍結破砕し、RNAを抽出する。抽出したRNAを、各種転写因子、細胞内伝達物質を含めた網羅的遺伝子発現解析(マイクロアレイ)に用いる。 マイクロアレイ解析に用いるRNAは高純度、高濃度であることが求められる。軟骨組織、こと健常軟骨は大量な細胞外基質に比して細胞成分が非常に乏しいため、純度の高いRNAを抽出することに、技術的な困難さがある。現在限られた個数のヒト大腿骨頭軟骨から、如何に高品質のRNAを抽出するかという点で試行を繰り返しており、近日中に方法を確立できる目処が立ちつつある。一度安定的な抽出方法が確立されれば、サンプル数を蓄積し、マイクロアレイ解析に移る予定である。 マイクロアレイ解析によりIL1Bの発現に関与する転写因子や細胞内伝達物質のネットワークが解明されれば、その細胞内伝達経路をターゲットとした解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力先からの大腿骨頭サンプルの回収数が申請当時の想定より少ない。このためRNA抽出の試行回数が十分確保できているとはいえず、時間を要していることが原因と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のごとく、質の高いRNAをヒト軟骨組織から抽出する技術の確立を急ぐ。また大腿骨頭サンプルをより多く確保するため、場合によっては、研究協力施設を広げることも検討する。 マイクロアレイ解析によりIL1Bの発現に関与する転写因子や細胞内伝達物質のネットワークが解明されれば、その細胞内伝達経路をターゲットとした解析を進める予定である。すなわち、本研究計画書の『実験2.レポーターアッセイによる候補転写因子の作用解析』以下の実験を、すみやかに開始、遂行する。 ターゲットとなる転写因子に目処が付いた段階で、レポーターアッセイに必要な発現ベクターの作成に取り掛かり、研究計画推進の効率化に努める。
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Causes of Carryover |
当初の計画より実験の進捗にやや遅れが生じており、実験に使用する試薬等の購入費が少なかったため、繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き実験を遂行するための試薬等の費用にあてられる予定である。
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