2015 Fiscal Year Research-status Report
震災後の低出生体重児に関与する要因と胎盤のゲノムインプリンティング
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26870032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮内 尚子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術補佐員 (60596162)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 産科学 / 母子保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災の被災地では、周産期合併症や低出生体重児の割合の増加が注目された。低体重は様々な障がいの重要な要因で、成人後の生活習慣病との関連も指摘され、震災被災に伴う障がい児の増加を強く懸念している。このため本研究では、被災地(石巻医療圏)の低出生体重児の身体的、精神行動学的な発達の両面について、縦断的な観察研究を実施した。低出生体重児群(2500g未満)(n=201)を登録し、質問票調査と医師カルテを参照し、出生体重とそれに関連する要因について検討した。重回帰分析(JUMP ver. 1.0)の結果より、基本属性(在胎週数、出生身長、体重とポンデラル指数などの出産状況)の比較を行った。2群間の比較では、喫煙の有無で有意差を認めた(60%, 52%, P<0.01)。母年齢、収入、学歴などに差は認められなかった。また、在胎日数、妊娠期間中の母親の体重増が正に関連することも確認された。神経行動学的な発達検査として、新生児行動評価(生後3日目)、新版K式発達検査2001(生後6ヶ月、修正月齢)を実施した。その結果、新生児行動評価(生後3日目)では、喫煙習慣(自律系の安定性)、アプガースコア(自律系の安定性)、出生体重(原始反射)、出産順位(原始反射)との関連性に加え、罹災状況と原始反射スコアの間に統計学的な関連性が観察された。新版K式発達検査(生後6ヶ月)では、出産順位および喫煙習慣との間に負の相関が見られたものの、罹災状況との間に関連性は認められなかった。今後胎盤組織を用い、エピゲノム解析を行い、子宮内の環境評価を行う。また、正常胎盤におけるインプリント遺伝子を網羅的に検索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究体制は整備され、疫学調査はほぼ終了した。また、胎盤収集も予定通り行われ、胎盤特異的インプリント遺伝子の解析も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、低出生体重児の胎盤におけるゲノムインプリント遺伝子のDNAメチル化の解析を行い、子宮内環境の変化が出生体重に及ぼす影響について検討を加える。また、栄養、運動、ストレスとの関連性を見出し、今後の大災害時に発生すると予想される低出生体重児の増加に対し、予防する工夫がないか検討する。
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Research Products
(3 results)