2014 Fiscal Year Research-status Report
脳腸相関と視床下部ストレス・ホルモンネットワーク機構の解明
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26870039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 由佳里 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (50721453)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ストレス科学 / 消化器内科学 / 神経科学 / 心身医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、ストレス関連神経ペプチドである副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (corticotropin-releasing ho rmone: CRH)が内臓刺激時の脳機能に影響を及ぼし、更に過敏性腸症候群患者は健常者と反応性の差異があることを見出した。本研究では、CRHが主に産生される視床下部室傍核において、同部位で産生されるバソプレシン、ノルアドレナリンとのストレス刺激時ホルモンネットワークを解明することが目的である。 1)ヒトへの内臓刺激ストレスに対する、ストレス関連神経伝達物質のネットワーク解析研究 健常者、IBS 患者を対象とする。被験者の直腸にポリエチレン製ビニルよりなるバロスタットバッグを挿入留置し、大腸伸展刺激を加えた。更にCRHを静注し、同様の刺激を加えた。 刺激毎にH215Oを静注し、positron emission tomography (PET) による局所脳血流量を測定、刺激終了毎に採血を行い、ACTH、コルチゾール、ノルアドレナリンなどのストレス関連神経伝達物質濃度を測定した。申請者らは、CRHがACTH、コルチゾールだけではなく、ノルアドレナリンともネットワークを形成することを血中ホルモン値、脳画像から解明した。更に健常人と過敏性腸症候群患者ではこれらの反応性が異なることを発見した。 2)内臓刺激時の神経樹状突起スパイン構造変化における形態学的解明 Green fluorescent pro tein (GFP)マウスに大腸電気刺激による内臓ストレス負荷を行い底外側扁桃体の神経棘突起構造変化を評価した。刺激強度により異なる反応性を呈しため、現在ストレス関連神経伝達物質の放出閾値の差について研究を遂行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度研究にヒト研究、動物研究共に新たな知見を認め、病態メカニズム解明へ向けて大きな収穫となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定では、母子間ストレスネットワーク解明に既に進む予定であった。しかし、これらの土台となるべき基礎的研究において、新規性が高い研究結果が得られため、むしろ当初より研究内容の充実が図られている。早期論文化を目指し、更なる研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、当初予定していた血中バソプレシンとオキシトシン濃度について、血中ノルアドレナリン測定に変更したことにより生じたものであり、次年度以降に実施予定である。必要な経費として、次年度請求額と合わせて使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度予定分の研究が次年度に繰り越されたため、年度を繰り越す形だが、当初申請どおりの内容で使用していく予定である。
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