2018 Fiscal Year Annual Research Report
Professional's explanation on home care and realization of continuation of home living for family carers with end-of-life cancer patients
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26870040
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
千葉 宏毅 北里大学, 医学部, 助教 (90713587)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 訪問看護師 / 末期がん患者 / 家族 / 前向き観察 / 説明 / 発話 / 共起ネットワーク / Patient Reported Outcome |
Outline of Annual Research Achievements |
訪問看護師による末期がん患者へ対し訪問看護を行っている際に、患者および家族に行った説明と患者家族の意向や不安の心的側面、および生活や死亡場所にどのような違いがあるかを探索的に分析を行ってきた。最終年度は特に、患者、家族在宅療養前に抱いた不安に対し、訪問看護師が対応したかどうかを実際にパフォーマンスとして現れていたかどうか、その対応の有無と不安軽減との一致を確認した。 分析では、訪問看護師の発話内容と患者・家族が抱く13の不安内容との対応を共起ネットワークによる類似性測度を用いて測定した。協力施設より比較可能な完全なデータセット(2症例:AとB)を用いた。患者・家族Aの在宅療養開始時の不安は、1.痛みについて、2.急変時の対応、3.医師への連絡、4.食事・睡眠・排泄、9.体力的負担、10.精神的負担の6項目、一方患者・家族Bでは、1. 痛みについて、2. 急変時の対応、5. 医療費・介護費、6.生活費、13.患者の最期の5項目であった。分析の結果と患者死亡後の家族からのアンケートより、患者・家族Aでは、1.痛みについて、4.食事・睡眠・排泄、10.精神的負担の3項目で不安、説明、不安軽減の3つが一致し、訪問看護師からの説明に対して【生活上重要】と評価した。一方で患者・家族Bでは不安、説明、不安軽減の3つが一致した項目はなく、訪問看護師からの説明は【生活上重要ではなかった】と回答した。これは患者家族との繰り返しの対話から、患者家族が抱いている不安や困難をつかみ、複数の訪問看護師でこれらを共有しながら対応する重要性を示唆する内容と言える。さらにこれらの結果から、がんに伴う痛みや食事・睡眠・排泄の不安に対する対応、患者だけでなく家族が療養生活で抱える身体的や心理的な負担に対応した説明が、患者・家族のQOLを維持・向上する上で重要と言える。
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