2014 Fiscal Year Research-status Report
蛍光粒子を用いたコロイド結晶成長中の不純物分配過程の解明
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26870047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野澤 純 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60569317)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 不純物分配 / コロイド結晶 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度に購入した蛍光観察用のデジタルカメラを用いて,不純物が結晶に取り込まれる様子のその場観察を行った.蛍光粒子を用いる事で,結晶成長に伴う不純物の挙動を明確に捕らえる事が可能となり,結晶方位の違い,または結晶粒界における不純物の分配挙動について新しい知見を得る事に成功した. 幾つかの結晶粒が同時に成長する様子をその場観察した結果,結晶方位によって取り込まれる不純物の濃度に違いが生ずる事が明らかとなった.観察方向に対して{100}面が配向した結晶粒と,{111}面が配向した結晶粒で不純物濃度を比較した所,{111}面の方が高い不純物濃度を持つ事が示された. 申請者らによるこれまでの研究で,コロイド結晶成長における不純物の分配においても通常の融液成長のモデルを適用できる事が示されている.コロイド結晶化の駆動力であるコロイド粒子の体積分率を用いて,方位の異る結晶粒の不純物濃度の違いを説明する事に成功した. 多結晶体の成長では粒界が形成され,その粒界に不純物が濃集する様子が観察された.粒界における不純物濃度を,粒界をなす粒子間の角度,成長速度などを指標として解析を行った.その結果,角度が大きい,また成長速度が大きいほど粒界の不純物濃度が大きくなる結果が得られた.また,その場観察により,不純物粒子が融液から粒界に取り込まれる幾つかの経路が存在する事が明らかとなった.解析の結果,粒界中の不純物の殆どは,結晶粒に取り込まれずに固液界面に濃集したものである事が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロイド結晶成長中の不純物の分配挙動を,蛍光粒子を用いて観察する事に成功しており,研究の目的とした結晶方位や粒界における分配挙動についてのデータが蓄積された. 変化させるパラメータは成長速度や不純物粒子の粒径,また粒界を形成する粒同士のなす角度などである.それらのパラメータを変化させ系統的なデータの蓄積を行った. 現在,収集されたデータに対し熱力学的解析,または通常の結晶成長の理論を適用した解析を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究を進めていく中で,初めに研究の目的として設定した項目以外に,不純物分配に影響する要素を新たに見出した. 1つは,粒子間の相互作用の大きさである.幾つかの異る育成手法で結晶を成長させ,不純物の分配挙動を比較した所,不純物粒径や育成速度が同じであるにもかかわらず,実効分配係数に大きな差が生じた.これらの手法は,粒子間の相互作用の大きさによって分類する事が出来るため,相互作用と不純物分配の関係を明らかにするための実験を今後行う.
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Causes of Carryover |
実験に用いるコロイド溶液は実験の進捗状況に合わせて適宜購入していたが,当初の予定よりも僅かに購入量が少なかった.学会発表の旅費等においても,当初の計画よりも僅かに低くなったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表の為の旅費に充てる予定である.
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Research Products
(14 results)