2014 Fiscal Year Research-status Report
ヘテラルキー型分散エネルギーシステムのためのマイクログリッド間協調方式
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26870052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笹井 一人 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00532219)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘテラルキー / エージェントシステム / 分散エネルギーシステム / マイクログリッド / オークションモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分散エネルギーシステムの効果的な協調方式として、オークション型の協調方式を提案し、外部環境の急激な変化に対応しうる、分散コンポーネント間の協調方式を実現することを目的としている。平成26年度においては、まずヘテラルキー性とエージェント協調関係の頑健性について、オークションモデルに基づいて検証を行い、その結果確立されたモデルを基に、エージェントベースのマイクログリッドシステムに実装するための環境整備や準備を行うことを目標として、研究を推進してきた。 本年度は、まずヘテラルキー性とオークション型のエージェント間協調方式を関連づけて検証するために、基盤となるモデルの構築を行った。ここでのヘテラルキー性とは、例えばシステム全体とその部分といった階層構造において、その動的な階層間相互作用を明示的に発生させるような仕組みのことであり、自然界においては、動物の群れや社会システム、一部の組織など頑健な振る舞いを見せるシステムに共通の性質として認められている性質のことである。オークションモデルにおいては、参加者全体で校正されるオークションシステムと、参加者の行動に関わる部分的な世界の相互作用であると仮定できる。これをあるオークションモデルに適用し、数値シミュレーションを行ってみたところ、自然界の頑健なシステムが見せる共通の数理的性質である、簡潔性を伴う断続的な時系列変化、およびべき状確率分布を得ることができた。 また、マイクログリッドシミュレーションシステムについては、応用可能な先行研究や数値シミュレーション研究について調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の第1目標である、オークションモデルにヘテラルキー性を導入することでシステムの頑健性を検証するという目標は、おおむね達成することができ、論文投稿の準備を始められているため、おおむね順調に進展しているといえるが、マイクログリッド制御への応用を見据えたテストベッドに関しては、調査中となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現時点での課題について述べる。本研究でエージェント間強調方式に用いようとしているヘテラルキー性を持つオークションモデルについて、実際のシステム例である、マイクログリッド制御方式に適用するためには、想像以上の大きな壁があることがわかった。特に、本モデルが有する適応能の中心である、大きな内部ダイナミクスの発生が、いかに頑健性と関わっているのかについて、より一般的な見解に基づく形式化を行わなければ、マイクログリッドシミュレーションシステムへの適用が難しい。 したがって、本年度では昨年度検証したオークションモデルのヘテラルキー性について、より一般的な形での議論を行い、上記の関係を解明することを最初に行う。次に、マイクログリッド管理エージェントに見立てたエージェントを数値シミュレーションにおいて構築し、本提案機構を適用可能かどうか検証する。その上で、電力システムが抱える制御問題である、大きな外乱に対するシステムの安定性について議論することができる理論の基盤を完成させることを目標とするように、研究計画を修正する。修正の理由は、実環境を意識するよりもアルゴリズムや方式の基礎を構築することの方が、学術的意義が高いとの判断によるものである。 なお、マイクログリッド環境については、最初に数理モデルについて調査を行い、それを用いて検証を行いたいと考えているが、もし研究の進捗が早ければ、実際の天候などの外乱要因について、データを用いて検証実験を行うことも視野に入れておく。
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