2014 Fiscal Year Research-status Report
核膜孔複合体構成因子による染色体分配の制御機構と染色体不安定性との関連
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26870053
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
伊藤 剛 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60607563)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染色体分配 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、安定した染色体分配に機能することで、染色体不安定性に関与している核膜孔複合体構成因子を同定する。また、ヒト細胞において30数種類存在する核膜孔複合体構成因子間での分子ネットワークがどのように染色体分配に働くのかを明らかにする。平成26年度は、核膜孔複合体構成因子の中でも染色体分配に関与している因子のスクリーニングを行った。関与分子として、染色体分配への関連が報告されているRae1とNup188(申請者が染色体分配への関連を報告)の結合分子について注目した。まず、Flagタグを付加したRae1やNup188タンパク質を安定発現するヒトHEK293細胞を樹立した。Flag-Rae1安定発現細胞株についてはnocodazole処理により分裂期で同調させ、細胞の抽出液を用いてFlag抗体による免疫沈降を行った後、免疫沈降産物に含まれる分子をマススペクトロメトリーで同定した。同定した分子はHeLa細胞よりsiRNAによりノックダウンした後、染色体分配異常が認められるかどうかについて生細胞観察を用いて解析した。Flag-Nup188安定発現細胞株を用いての同様な実験遂行を検討している。これと並行してNup188に着目した染色体分配の分子ネットワークを詳細にするため、Nup188全長をN末端、中央、C末端領域に区分した変異体(Flagタグ付加)の安定株を樹立した。これら変異体にどの因子が結合するのかを明らかにする予定である。平成27年度には正常線維芽細胞における同定した分子のノックダウンもしくは過剰発現を予定している。これらの実施は線維芽細胞への遺伝子導入を必要とするが、申請者はウイルスを用いた遺伝子導入法を確立し、これを円滑に遂行できる段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度、申請者は東北大学加齢医学研究所から秋田大学大学院医学系研究科へ異動した。これに即した準備および研究のセットアップに時間を費やす必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、Rae1とNup188を中心とした核膜孔複合体構成因子の分子ネットワークについて研究を進めた。平成27年度ではこれら以外の分子についても調べる。申請者は線維芽細胞への効率的な遺伝子導入法を習得した。繊維芽細胞において核膜孔複合体構成因子をノックダウンまたは過剰発現させたときに生じる染色体分配異常について検討することで、染色体不安定性について重要な因子を網羅していく。
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Causes of Carryover |
平成26年度、申請者は東北大学加齢医学研究所から秋田大学大学院医学系研究科に異動した。準備等のため研究実施期間の短縮を余技なくされたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
正常線維芽細胞における核膜孔複合体構成因子のノックダウンもしくは過剰発現に必要であるプラスミド作成。
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