2015 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分配における双方向性結合の形成に関わるリン酸化シグナルネットワークの解明
Project/Area Number |
26870054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池田 真教 東北大学, 加齢医学研究所, 教育研究支援者 (80645010)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染色体分配 / キネトコア / 微小管 / 紡錘体チェックポイント / 分裂期キナーゼ / Plk1 / Mps1 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞分裂期での染色体の正確な分配に必須な微小管とキネトコアの正しい結合 の形成(双方向性結合)には、Plk1やAurora B、Mps1、Bub1といった分裂期キナーゼの時空間的な活性化が重要な役割を担う。前年度の結果を踏まえ、平成27年度では、Plk1とMps1に焦点を当て、染色体動態の変化に伴う分裂期キナーゼの機能的違いを生み出す機構や、分裂期キナーゼ間の相互作用を解析した。Plk1の阻害はキネトコアと微小管の側面結合が増大するため、Mps1動態の変化がキネトコアと微小管の結合状態の変換を促す可能性が想定された。しかし、Mps1を人為的にキネトコアに留まらせても、キネトコアと微小管の結合状態に有意な変化は認められなかった。一方で、Plk1阻害細胞ではMps1の活性が抑制されることを見出した。双方向性結合の形成は紡錘体チェックポイント(SAC)と呼ばれる監視機構によって保証されており、Mps1はその活性化・維持に必須な機能を担う。そこでSACにおけるPlk1によるMps1リン酸化の機能解析したところ、Plk1はBub1を足場にMps1の活性化を介してSACの活性化に関与すること、Plk1-Bub1複合体はMps1だけではなく、キネトコアタンパク質Knl1のリン酸化を介したSAC活性化能も併せ持つことを明らかにした。本研究は双方向性結合形成における分裂期キナーゼの機能的役割と、その連動性の解明を目的としており、以下の成果を得た。1、Aurora BとPlk1という2つの分裂期キナーゼが対立することでキネトコアと微小管の結合様式を使い分け、効率的に双方向性結合が形成される可能性が示唆された。2、Plk1はBub1を足場にMps1やKnl1のリン酸化を介してSAC活性を調節することを明らかにした。
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