2014 Fiscal Year Research-status Report
高活性Pt酸化物触媒を用いた次世代直接エタノール型燃料電池の開発
Project/Area Number |
26870062
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 弘樹 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60632809)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 燃料電池 / DEFC / エタノール酸化 / Pt酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)スパッタリングによるPt酸化物薄膜の作製及びエタノール酸化特性の評価:高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いてPt酸化物薄膜を作製し,アルカリ溶液中でのエタノール酸化活性を調査した.電気化学還元処理を施したPt酸化物薄膜は,Pt薄膜の約30倍もの卓越したエタノール酸化活性を示した. (2)Pt酸化物薄膜の物性評価:電気化学還元を施したPt酸化物薄膜の優れたエタノール酸化活性の要因を調査するために,電気化学還元処理を行う前と後のPt酸化物薄膜の物性評価を行った.EPMA分析より,電気化学還元処理を行う前のPt酸化物薄膜のO/Pt原子割合は1.37であり,PtO2とPtOが共存していると推察された.一方,電気化学還元処理を行ったPt酸化物薄膜のO/Pt原子割合は0.19であり,ほぼ金属Ptではあるが微量のOを含んでいるとことがわかった.この結果はXPS分析の結果と一致した.また,Pt酸化物薄膜は電気化学還元処理によって活性表面積が大きく増大することがわかった.したがって,電気化学還元を施したPt酸化物薄膜の優れたエタノール酸化活性は,微量のOの存在と活性表面積の増大によると考えられる. (3)Pt酸化物薄膜の高性能化:Pt酸化物をスパッタリングで作製する際,他種の金属(Ni,Fe,Cu)を同時に析出させることで,Pt酸化物薄膜の高性能化を試みた.Cuの添加において,電気化学還元を施したPt酸化物薄膜に近いエタノール酸化活性が得られた.したがって,Pt酸化物薄膜へのCuの添加は,Pt使用量の削減に効果があると期待される. (4)DEFC放電試験:Pt酸化物粉末をアノード,アニオン交換膜を電解質,Pt Blackをカソードとして膜電極接合体を作製し,DEFC放電試験を行い,市販のPt酸化物粉末が燃料電池実働条件においてもPt Blackよりも優位な活性を示すことを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エタノール酸化反応の生成物分析以外は,研究実施計画通りに進行し,平成27年度実施予定であったDEFC放電試験を実施できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)生成物分析:Pt酸化物を電気化学還元することで,エタノール酸化反応活性が著しく向上した要因を,エタノール酸化反応における生成物を分析することで解明する.すなわち,その場赤外分光法により反応生成物を分析し,Ptと電気化学還元されたPt酸化物上でのエタノール酸化反応機構の相違を考察する. (2)各種組成Pt-Cu酸化物薄膜の作製:平成26年度にPt酸化物薄膜へのCuの添加は,Pt使用量の削減に効果があることがわかった.そこで,各種組成Pt-Cu酸化物薄膜を作製し,最適組成を明らかにする. (3)Pt系酸化物触媒の微粉末化及びキャラクタリゼーション:平成26年度の結果および(2)に基づき,Pt系酸化物微粉末を調製する.調製した酸化物粉末について,ICP-AESやXRD,XPSを用いて,組成や化学結合状態を調査し,媒の素性を明らかにする. (4)調製したPt系酸化物微粉末をアノード,アニオン交換膜を電解質,Pt Blackをカソードとして膜電極接合体を作製し,DEFC発電試験(単セル試験)及び生成物分析(HPLC)を行い,燃料電池実働条件におけるアノード特性を調査する.
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては,既存の装置・設備を効率的に使用することができたこと,その場赤外分光法による反応生成物の分析が思うように進行しなかったため消耗品の消費が抑えられたことが主な理由であると考えられる.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,生成物分析,各種組成Pt-Cu酸化物薄膜の作製,Pt系酸化物触媒の微粉末化およびこれを用いたDEFC発電試験を実施する.そのため,設備備品・消耗品に1456,224円を,計測機器使用料に200,000円を当てる.また,研究打合せおよび成果発表の旅費に400,000円を充当する.
|
Research Products
(4 results)