2016 Fiscal Year Research-status Report
「森林管理の地方自治」の実現に向けた政府間関係の再構築に関する実証的研究
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26870065
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
早尻 正宏 北海学園大学, 経済学部, 准教授 (50466637)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 森林組合 |
Outline of Annual Research Achievements |
さまざまな公益的機能を有する森林資源の適切な管理には、総合的かつ長期的な視野をもつ「公共」の関与が必要である。だが、国や都道府県には地域事情に通じた専門家はおらず、他方で市町村には森林技術に精通した専門家は育っていない。また、国―都道府県―市町村のラインでおこなわれる森林管理は画一的であり、それゆえ「政府」の施策は地域社会のニーズからかい離しがちとなる。必要なのは、地域の多様なニーズと課題に迅速に対応するコミュニティに張り付いた専門的な担い手の存在である。こうした問題意識に基づき、本研究では今年度、「協同」を公共の一翼を担う存在と位置付けたうえで、林業分野における「協同」の代表格である森林組合に焦点を当てて、地域再生に資する森林管理方策に関する実証研究を進めた。都府県を上回るスピードで人口減少の進む北海道、および原子力災害に見舞われた福島県の事例検証から明らかになったのは、組合員の所得増大だけでなく、地域雇用の創出や環境資源の保全に取り組む森林組合の姿であった。そこでは、地域社会の福利増進を図りコミュニティの存続基盤を構築することで、組合経営そのものを立て直していくという戦略がとられていた。こうした協同実践の事例検証から、組合員の利益を最優先するシングル・ステークホルダー型ではなく、森林組合を取り巻く多種多様なステークホルダーを包摂したマルチ・ステークホルダー型という「協同」の新しい展開方向を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの現地調査の研究成果の取りまとめをおこなう一方で、新たに統計資料の収集と分析に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究の最終年度であり、これまでの調査結果の取りまとめが中心となる。学会発表や論文作成を軸に研究活動を展開していく。また、必要に応じ追加調査を実施する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動にともない推進体制の立て直しが必要となり、当初の予定どおりに現地調査を進めることができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度実施できなかった現地調査を追加的に実施する。
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