2014 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病診断を目指した血液、髄液リン酸化αシヌクレイン新規検出法の開発
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26870068
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 裕康 山形大学, 医学部, 助教 (90436204)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経内科学 / 神経病態学 / パーキンソン病 / バイオマーカー / αシヌクレイン / リン酸化 / 生化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)の生物学的マーカーの一つとしてαシヌクレイン(αS)が検討されている。リン酸化αS(p-αS)がPD患者の血漿、髄液で上昇することが報告されている。しかし、正常者との重なりが大きく、PDを正常者や他のパーキンソン症候群から高感度に鑑別することは出来ていない。本研究課題ではp-αSの変化を非リン酸化αS(non-p-αS)の量比として検出することによって診断能力が向上するか検討することを目的としている。 平成26年度は、電気泳動で、総αシヌクレイン(total-αS)をp-αSとnon-p-αSに分離する方法について検討した。当初の計画に従って、Phos-tag SDS-PAGEを用いて検討した。Phos-tag Acrylamide(Wako)を用いて、種々の条件を設定しPhos-tag SDS-PAGE後、抗αS抗体でウェスタンブロッティングを行った。しかし、total-αSをp-αSとnon-p-αSに分離することは出来なかった。更に、Phos-tagプレキャストゲル、Phos-tag Agaroseを用いて検討したが、p-αSとnon-p-αSの分離は成功しなかった。 total-αS をp-αSとnon-p-αSに分離する為にPhos-tag SDS-PAGEを用いる当初の計画を変更し、他の方法を検討することとした。現在、尿素PAGEなど他の電気泳動法を用いて検討している。 PD患者、コントロール群の脳脊髄液、血液検体については、既に保有している検体を使用する為の承認を倫理委員会より得た。脳脊髄液中のαS、p-αSをウェスタンブロットで検出するための検討、準備を併せて行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題はハイスループットにαシヌクレイン(αS)をリン酸化αS(p-αS)と非リン酸化αS(non-p-αS)に分離し、p-αS/non-p-αS量比を求めることを目標としている。Phos-tag SDS-PAGEでTotal-αSをp-αSとnon-p-αSに分離することを試みた。種々の条件検討を行ったが、Phos-tag SDS-PAGEでp-αSとnon-p-αSを分離することは困難と判断した。その為、方針を変更し、Phos-tag SDS-PAGE以外の方法を検討することにした。当初の計画で想定したPhos-tagが予想通り機能しなかったため、時間が費やされてしまい、Total-αSをp-αSとnon-p-αS にハイスループットに分離する方法の確立に困難を生じていることが、遅れの原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次の方法として、一次元の電気泳動でリン酸化体を分離する方法として、電荷に従って分子を分離することが期待できる尿素PAGEを検討中である。これが上手くいかなかった場合、等電点電気泳動法を検討する予定である。総αシヌクレイン(total-αS)をリン酸化αS(p-αS)と非リン酸化αS(non-p-αS)にハイスループットに分離する方法を見出したい。併行して、血漿、脳脊髄液を用いた検出法の準備も行う。方法が確立次第、PD患者髄液、血漿での解析をすすめる。同時に、PD患者検体の採取も進め、研究を遂行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
総αシヌクレイン(total-αS)をリン酸化αS(p-αS)と非リン酸化αS(non-p-αS)に分離する為に当初予定していたPhos-tag SDS-PAGEを用いて解析することが困難と考えられた。その為Phos tag購入のために見積もった額の一部を使用しなかった。その為予算額に変更が生じた。また、解析用デスクトップコンピューターの購入を次年度に持ち越したことが主たる要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、ウェスタンブロット関連試薬、抗体、その他試薬、解析用デスクトップコンピューターの購入、学会の参加費として、費用を使用する予定である。
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