2014 Fiscal Year Research-status Report
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26870070
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
藪崎 志穂 福島大学, 共生システム理工学類, その他 (60447232)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 福島県沿岸域 / 水質 / 安定同位体 / 地下水流動 / 湧水 / トリチウム / 滞留時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島県北部沿岸地域の地下水流動を明らかにすることを目的とし,調査・研究を実施している。H26年度は,北部沿岸域(新地町,相馬市,南相馬市,浪江町)とその周辺地域(飯舘村など)の調査を複数回行い,湧水,地下水の位置を確認したうえで,以下のことを明らかにした。 1)現地調査や採水した水の分析を行い,湧水や地下水のEC,pH,一般溶存成分,酸素・水素安定同位体の特徴を示した。こうした化学分析の結果,当初の目的の一つである地域的な水質の特徴について把握し,水質組成やEC等の違いから,複数の地下水流動系(帯水層)の存在を示すことができた。 2)標高の異なる複数地点で河川水を採取し,同位体比の高度効果を求めた。この結果を用いて,湧水や地下水の涵養標高(涵養域)を把握することができた。これは,今後,湧水や地下水の滞留時間を求める際に利用する。 3)トリチウム分析は水サンプルの濃縮作業(トリチウム濃縮装置を利用)までは終了したが,液体シンチレーションカウンターによる分析に不都合が生じたため,H26年度中にデータを出すことができなかった。その後,液体シンチレーションカウンターのメンテナンスを実施し,H27年4月から測定を実施している。全試料の測定が終了した後,速やかにデータ解析を実施する。このトリチウムデータをを元にして,湧水,地下水の相対的な滞留時間を推定し,年代値を求めるためのCFCs,SF6分析用のサンプル採取地点を決定し,今後の地下水流動の解析に活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度は,北部沿岸域の調査を複数回実施し,また,一般溶存成分と安定同位体分析を実施し,当初の目的の一つである各地点の水質の特徴について把握し,複数の地下水流動系(帯水層)の存在を示すことができた。 トリチウム分析はサンプルの濃縮作業までは終了したが,液体シンチレーションカウンターに問題が生じたため,H26年度中の測定はできなかったが,機器のメンテナンスを実施し,H27年4月時点で分析を再開している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)H26年度で行った調査地点を確認し,データが不足している地点について補足調査を実施する。 2)溶存成分やトリチウムデータを元にして,湧水,地下水の相対的な滞留時間を推定し,年代値を求めるためのCFCs,SF6分析用のサンプル採取地点を決定しする。H27年の夏から秋に,CFCs,SF6用の採水を実施する。 3)CFCs,SF6分析を実施し(依頼分析),分析値から湧水,地下水の滞留時間を求める。 4)一般水質,安定同位体,トリチウム,CFCs,SF6等のデータの空間分布図を作成し,データの解析を行い,沿岸域の地下水流動を把握する。 5)北部沿岸域の既存の地下水流動モデルと比較し,本研究結果との整合性について確認する。 6)結果をとりまとめ,成果を学会発表で公表し,報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
1)当初,平成26年3月に予定していた東京での研究打ち合わせが延期となったため,旅費として使用予定であった経費を次年度に持越しとなった。 2)地質データ(web経由の閲覧)のID利用料金について,平成27年3~4月分の料金を翌年度払いにする必要があるため,その分の経費を次年度に持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)平成27年4月下旬に,科研調査の打ち合わせを東京で実施する。 2)地質データ利用IDは,平成27年4月以降も継続して利用する。
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Research Products
(6 results)