2014 Fiscal Year Research-status Report
シェーグレン症候群における抗原特異的治療法の新規構築
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26870078
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅島 弘充 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50708485)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗原特異的治療法 / シェーグレン症候群 / アナジー |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレン症候群の自己抗原であるM3ムスカリン作働性アセチルコリン受容体(M3R)の免疫応答に焦点をあて、M3R誘導自己免疫性唾液腺炎マウスモデル(MIS)を用いた抗原特異的治療法の構築を目指した。 具体的には、①MISにおけるM3R反応性T細胞エピトープの解析、②Altered Peptide Ligand(APL)の作成・選定およびAPL投与におけるMISへの影響の評価、③APLのM3R反応性T細胞への作用機序の解明を行った。 ①M3R欠損マウスにM3Rをコードする合成ペプチドを免疫し、その脾細胞を各M3R細胞外領域と培養してサイトカイン産生をELISA法で評価した。N1もしくは1stペプチドとの共培養下において、M3R反応性T細胞からのIFNgおよびIL-17産生が確認され、T細胞エピトープは2つあることが示唆された。実際に、N1および1stペプチドを単独免疫したM3R欠損マウスを用いてMISを誘導したところ、各々唾液腺炎の発症が確認された。 ②N1および1stペプチドのTCR結合部位のアミノ酸残基を一部置換したN1-APLおよび1st-APLを作成した。In vitro assayにおいて、N1-APL5,6,7がT細胞からのIFNg産生を、1st-APL8がIL-17産生を有意に抑制し、抑制性APLの候補として挙げられた。MISにこれらのAPLを静脈投与したところ、N1-APL7で有意に唾液腺炎の発症が抑制された。 ③N1-APL7投与マウスの頸部リンパ節中のCD4+T細胞においてEgr2の発現上昇が確認され、アナジー誘導が示唆された。実際、in vitro assayでN1-APL7との共培養下ではT細胞におけるアナジー関連分子の発現上昇が確認された。APLにおけるM3R反応性T細胞のアナジー誘導が唾液腺炎抑制機序である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シェーグレン症候群のマウスモデル(MIS)をもとに抗原特異的治療法の構築を行った。MISにおけるT細胞エピトープの解析、APLの作成・選定・in vivoへの影響評価を行い、アナジー誘導が唾液腺炎発症抑制のメカニズムである可能性が示唆された(Arthritis and Rheum. in press)。 現在、ヒトSS患者への応用を目的として、口唇唾液腺およびPBMCよりCD4T細胞株の樹立を始めている。また、ヒトM3Rの全長をカバーするペプチド合成(計45種類)も完了しており、今後はSS患者の検体を中心に解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトSS患者の唾液腺およびPBMCより樹立したCD4T細胞株を使用して、病変部局所でのM3R反応性T細胞の解析を行っていく。PBMC中のM3R反応性T細胞と、唾液腺組織から得られたM3R 反応性T細胞株のTCRレパトア・CDR3領域のsequence結果を比較検討する。またT細胞エピトープに関しても、PBMCと唾液腺での結果を比較する。 PBMC、唾液腺から樹立したM3R反応性T細胞株を用いて各々T細胞エピトープを含むM3RペプチドおよびAPL候補ペプチドで刺激し、サイトカイン産生をin vitroで評価する。両細胞からのサイトカイン産生を共に抑制するAPLは、M3R に対する免疫応答を有するSS 患者における抗原特異的治療としての可能性が期待できる。
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