2014 Fiscal Year Research-status Report
光ナノアンテナを備えた蛍光相関分光分析デバイスによるプリオン病の早期診断法の開発
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26870089
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横川 雅俊 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50447885)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / プラズモン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では医療・食品分野の現場においてプリオン病の指標となる異常型プリオンタンパク質の高精度・迅速・同時多項目分析を実現する新規分析システムの開発を進めている。具体的には、「金属ナノギャップ型光ナノアンテナの光増強効果を利用した超微小光励起空間の形成」と「微小観察領域を出入りする分子の運動を検出することで、その形状・大きさ・濃度を高感度に分析する蛍光相関分光法」の融合によりそれを実現する。 26年度は、①金属ナノギャップ型光アンテナ(ONA)の設計・加工・評価を中心に研究を進め、平行して②光学実験系のセットアップを行った。ONAの設計においては、シミュレーションによる電磁界解析から、棒状の金ナノロッドを光で励起した際、その表面近傍や、連結した ONAのギャップ部において顕著な電場増強が生じることを確認した。続いて、界面活性剤水溶液中で金ナノ粒子を成長させるシード法により金ナノロッドを合成した。合成された金ナノロッドは、長軸長45 nm、短軸長12 nmの円柱状構造をとり、その極大吸収波長は780 nmであった。また、合成時の硝酸銀濃度を変えることで、600-1100 nmの範囲でそれぞれ異なる吸収極大を持つ金ナノロッドの合成に成功した。これらの光学特性は、シミュレーション結果と良い一致を示した。金属自身の光吸収特性、及び生体の光透過性を考慮にいれ、極大吸収波長650 nmの金ナノロッドを以降のONA構造作製に用いた。ONA構造の作製は、まず、金ナノロッドの結晶構造の異方性を利用し、構造両端部のみを選択的にチオール化DNAで修飾し、DNA ハイブリダイゼーションによって構造を連結することで行った。②光学実験系においては、ハロゲンランプを光源とし、励起・蛍光フィルタ及び偏光板を倒立型顕微鏡に取り付け、ONAの光学特性評価に用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の研究計画においては、効率的な金属ナノギャップ型光アンテナ(ONA)の合成を目指し、新規金属ナノロッド鎖固相合成法の確立を計画していた。しかしながら、提案した平面金電極とチオール還元脱離法とを組み合わせた手法では、生成物の回収率が低く、また、一回の合成に要する試薬量(金ナノロッド量)が多いため、条件を変え繰り返し試行することが困難であることが、実験により明らかとなった。そこで、より小さなスケールで効率的にONAを合成する手法として、マイクロスケールのシリカビーズを担体とし、その表面で金属ナノロッド鎖の固相合成を行い、最終的に合成されたONA構造を化学処理により分離・回収する方法を新たに考案した。本手法においては、ビーズの表面処理が極めて重要であり、その条件検討に多くの時間を要した。その結果として、配列を制御した金属ナノロッド鎖を自由に合成し、高効率で回収することが可能となった。一方で、予定されていたONAを用いたFCSシステムの構築及びその評価に遅れをきたした。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度までに構築したONAシステムを元に、27年度は、まず、③光アンテナを利用した蛍光相関分光分析(ONA-FCS)システムの構築及び評価を行う。続いて、④光アンテナ構造のアレイ化及び多項目同時測定システムの構築を行い、最後に、⑤本システムを用いた生体実サンプルの測定を行う。研究遂行における遅延に対しては、FCSの検出器を早期に高感度イメージングセンサーへと置き換え、多項目同時測定システム構築に着手し、研究の効率化を測る。 具体的には、まず、構築するONA-FCSシステムに対して、濃度を振った量子ドット及びプリオンタンパク質PrPをモデル試料に、その性能評価を行う。続いて、多項目同時測定を目的としたアレイ化ONA基板の作製を行う。ここでは、単純に同一のONAをアレイ化したものの他に、それぞれアンテナ長の異なるONAを少なくとも3種配置し、ブロードな光源を用いて同時多波長励起を実現するシステムを構築する。これにより、各ONAのアンテナ長に応じた波長の超微小光源を視野内に数多く配置することが可能となり、一度の観察で多くの分析を行う事が可能となる。最後に、よりクルードなサンプルの測定における信頼性の評価を行う。ここでは、ONA構造への夾雑物の非特異吸着等が問題になると予想されるため、事前の表面処理等が課題となる。試料には、血液試料に精製プリオンタンパク質(PrP)の正常型および異常型をそれぞれ添加したものを用い、ONA-FCSシステムを用いて、異常型PrPの検出を行う。これをもって、本システムの最終性能評価とする。
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Causes of Carryover |
26年度の研究計画においては、効率的な金属ナノギャップ型光アンテナ(ONA)の合成を目指し、新規金属ナノロッド鎖固相合成法の確立を計画していた。しかしながら、提案した平面金電極とチオール還元脱離法とを組み合わせた手法では、生成物の回収率が低く、また、一回の合成に要する試薬量が多いため、条件を変え繰り返し試行することが困難であることが、実験により明らかとなった。そこで、より小さなスケールで効率的にONAを合成する手法として、マイクロスケールのシリカビーズを担体とし、その表面で金属ナノロッド鎖の固相合成を行う方法を新たに考案した。本手法においては、ビーズの表面処理が極めて重要であり、その条件検討に多くの時間を要した。それに伴い、予定されていたONAを用いたFCSシステムの構築に必要となる光検出器(100万円)や顕微鏡関連部品の仕様を決定することが出来ず、購入を次年度に延期せざるを得なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、前年度取り組む事の出来なかった、光アンテナを利用した蛍光相関分光分析(ONA-FCS)システムの構築に必要となる光検出器や顕微鏡関連部品の購入に充てる。
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Research Products
(3 results)