2015 Fiscal Year Research-status Report
新規に開発した尿道カテーテルの刺激低減効果に対する無作為化比較対照試験
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26870092
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久保 和宏 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80546531)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 尿道カテーテル / 局所麻酔薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿道カテーテルは、臨床現場で汎用されている。それにより我々はリアルタイムな尿量測定という重要な生体情報を得ることができるが、時に患者は耐え難い違和感、疼痛、尿意を感じている。そのような訴えは、周術期、特に全身麻酔からの覚醒の過程で多く聞かれ、時に不穏状態の誘因にもなる。しかし、医療従事者はそれに対する有効な手段を持っていない。新たに発売された尿道カテーテルは尿道内局所麻酔薬投与を可能にし、それによる尿道粘膜に対する表面麻酔はカテーテル抜去時の刺激が低減した。本年度は以下の成果を今後報告する予定である。 【目的】回復室において尿道カテーテルに関連した切迫尿意の訴えは多く聞かれる。当院では、男性手術患者に対し局所麻酔薬投与ルーメンを有する尿道カテーテル(NMOC®富士システムズ社製)を使用しているが、その有効性について検討した。【方法】対象のカテーテルが挿入された患者に対し回復室入室30分後に尿意に関する5段階評価(0:なし、1:少しある、2:ある、3:かなりある、4:耐えられない尿意がある)を行う。2以上の場合、治療に必要な尿意があると判断し、無作為にリドカイン投与群と擬似的処置群(シャム群)に振り分け、処置を行った。【結果】230例中25例で2以上の評価となった。 投与群は 11/12 シャム群 2/13 で改善した。【考察】以前使用していた尿道カテーテルと比較し、尿意の訴えの頻度が低下した。カテーテルの材質やアセトアミノフェン(アセリオ®;2014年発売)投与の増加が関係していると考えられる。 また、尿意のある患者に対してはリドカイン投与群が有意に尿意を低下させたため、患者の術後の医療満足度に貢献するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来使用されていた尿道カテーテルでは尿意を感じる頻度が30%程度存在していたのだが、このカテーテルの試験開始後のデータでは尿意を感じる頻度が10%程度と著しく低下している。 この原因としては、研究の同時期に発売されたアセトアミノフェンの静注薬であるアセリオRが尿意を低減させている可能性が海外の論文で示されている。 また従来のカテーテルはシリコンコーティングされていたものが使用されていたのですが、本研究で使用しているカテーテルはオールシリコン製のためその影響も考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定症例数の終了までデータ採取を継続する。 またアセトアミノフェンの本研究における影響を検討する。 全身麻酔後覚醒中の効果のみならず抜去時、病棟への帰室後の尿意に対する効果も検討していく予定である。
広く臨床使用されるように臨床データを蓄積する。
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Causes of Carryover |
予定症例数の確保ができず期待された成果を発表報告する機会がなかった。 また、同様の理由により、薬液や保険などの費用の負担が予想より少なかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度も継続して臨床研究を行う予定のため、成果報告、また研究を遂行する費用として計上されたものを使用する予定である。
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