2016 Fiscal Year Research-status Report
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26870095
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
松井 雅義 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50415791)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 大腸菌 / カーボン材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
【大腸菌のバイオフィルム形成および定量に適した培地のスクリーニング】 これまでは大腸菌の培地として一般的であるLB培地を用いてきた。カーボン材料の添加効果として、バイオフィルム形成促進効果が確認されたが、形成されたバイオフィルムの構造が不均一であり、洗浄の際に崩壊しやすいため、クリスタルバイオレット染色による定量の再現性を得ることが極めて困難であった。これは培地を構成する成分が高濃度であることが一因であると考えられる。そこで、新たに数種の最小培地(M9培地、M63培地等)を用いて検討したところ、大腸菌が密に集合したバイオフィルムが形成され、洗浄に対する耐性も優れており、クリスタルバイオレット染色による定量の再現性がより向上した。 【カーボン材料の親水処理用プラズマジェット処理装置の開発】 従来はカーボン材料の親水化処理を硝酸等による酸処理で行っていた。本方法では処理後の洗浄やろ過、乾燥等の後処理が煩雑であり、多量の廃液が生じることが問題である。カーボン材料の親水処理をより効率的且つ安全に行うために、新たにプラズマジェット処理装置を開発した。板上カーボン材料のパターニングも可能であるため、カーボン材料の親水化処理がバイオフィルム形成および増殖に与える影響をより詳細に調べることが可能である。 【クリスタルバイオレット染色法の最適化】 クリスタルバイオレット法を適用し大腸菌のバイオフィルム量を定量してきたが、既報の実験条件ではクリスタルバイオレットが完全に脱色されず、且つ脱色液が蒸発することで正しく評価できないという問題があった。そこで、脱色液の蒸発防止と脱色時間について検討を重ねたところ、クリスタルバイオレットが完全に脱色でき、再現良く定量することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験条件を最適化することで、バイオフィルム量を再現良く定量することが可能になった。さらに、カーボン材料を効率的且つ安全に親水化処理できるプラズマジェット処理装置を開発することができた。以上の理由からこれまで以上に研究を加速することができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
培養の際に添加するカーボン材料の違いによるバイオフィルムの構造についてより詳細に観察し、類似点や相違点を明らかにする。さらに、コロニー形成法と組み合わせることで、増殖促進あるいは抑制効果についても検討する。
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Causes of Carryover |
これまでに得られた研究結果をさらに進展させ、得られた成果について論文や特許により公開するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に必要な器具類、試薬類の購入の他、論文投稿や特許取得のための費用として予算を使用する予定である。
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