2015 Fiscal Year Annual Research Report
CT画像を用いた頭蓋縫合及び恥骨結合の評価による年齢推定法の検討
Project/Area Number |
26870097
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
千葉 文子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90724972)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 年齢推定 / 死後CT / 法医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
死体の個人識別のために、年齢推定は法医学において重要であり、恥骨結合面の観察は古くから年齢推定の手段として用いられてきた。恥骨結合面の観察は、肉眼での形態観察で行われてきた。しかし、恥骨結合面の観察のためには軟部組織の除去が必要であるが、近年の法医学領域へのCTの普及にともない、CT画像を用いることでより軟部組織を除去することなく骨の情報が得られるようになってきている。これはコストの大幅な削減になることに加え、情報の保存や再評価にも非常に有益であると考えられる。3次元CT画像を用いて骨の形態を評価する試みはあるものの、用いる画像処理ソフトの関数により得られる三次元画像には差が生じることが問題となる。 今回我々は、司法解剖前に撮影された年齢性別既知の死後CT画像199例を用いて、恥骨結合面正中を通過する冠状断面及び軸位断面の任意断面像を作成し、恥骨結合を構成する要素をCT画像上で計測し、計測値と加齢との相関関係を調査した。加齢に従って、結合面での恥骨の形態が変化することが定量的に示された。恥骨結合面を用いた年齢推定の方法冠状断及び軸位断いずれにおいても、左右の恥骨が上下、あるいは前後方向に平行に位置する部分の長さが加齢に伴って増加することが示された。また、左右の恥骨結合面の間の軟部組織の幅が、加齢に伴って減少することも示された。CT画像を用いることにより立体構造を保った状態での観察が可能になり、軟部組織の幅の変化などを新たに評価することが可能になるなど、従来は観察できなかった部分が新たに評価できる可能性が示された。今回得られた結果は恥骨結合を用いた年齢推定に従来広く用いられているSuchey-Brooks法と比較して、推定される年齢幅は優位なものではなかったものの、その他の方法と組み合わせることで有用であると考えられる。
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