2015 Fiscal Year Research-status Report
強迫観念に対する認知行動療法の作用メカニズムに関する多面的MRI研究
Project/Area Number |
26870100
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
須藤 千尋 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30612650)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 心理療法 / 認知再構成 / 強迫症 / 機能的磁気共鳴画像法 |
Outline of Annual Research Achievements |
MRI装置の中で認知再構成法により被験者の持つ信念の変容を誘導するための認知課題を洗練する作業を行った。 欧米の臨床心理学分野の文献を検討しつつ、国内の心理臨床家の意見を反映することで、国内の被験者にも確実な信念の変容を引き起こすとともに、英文での公表のために、地域性や文化的偏りの少ない汎用性のある課題へと洗練した。 また、この認知課題を質問紙法に落とし込んだものを用いて、多数の健常者を対象とした予備試験を行った。予備試験で得られた回答データを因子分析し、MRI装置内で用いる認知課題を作成した。 この認知課題を利用して、少数の健常被験者を対象にした、試験的なMRI撮影を行った。申請者がかつて用いたものと異なるMRI装置を利用予定であるため、この際には、撮像パラメータの比較と最適化のために、複数種類の撮影を行い、それぞれ解析した。これに伴い解析方法も最適化を要した。 なお、本研究に密接に関係する、健常者のみを対象に行った予備的な研究において、被験者の持つ手指洗浄に関わる信念をソクラテス式質問法により疑わせ、結果として信念を変容させることに成功した。被験者の信念の変化が、質問を受けているときの左後頭頂皮質の脳活動や、脳の左半球の線維連絡と相関することを発見したため、この成果をとりまとめたものを大阪市で開催された学術集会(WPA Regional Congress)において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
MRI装置の中で認知再構成法により被験者の持つ信念の変容を誘導するための認知課題を最適なものにするのに、当初の計画時点で予想していたよりも手間がかかることが判明した。 具体的には、被験者に提示する質問の仕方や質問の文面を洗練するために、治療効果や心理効果のエビデンスが文献的かつ臨床的に裏付けられるようにすることと、質問紙法での予備試験の実施に計画外の時間がかかっている。 申請者らのグループによる先行研究の時点から、MRI装置が変更されたことに伴い、MRI撮像パラメータや解析方法の最適化を改めて要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
遅れてはいるが計画内容に大きな変更はない。認知課題と解析に至るまでの流れの洗練のために、少数の健常者を対象とした予備的MRI撮像を行った後、強迫症患者や健常者を対象とした本試験へ移行する予定である。本試験で得られたデータを解析し、学会や論文での公表を目指す。
|
Causes of Carryover |
様式F-14および様式F-7-1に記載したとおり、研究進捗の遅れがあったため、支出額が減少した。またMRI検査を受ける被験者への謝金を、MRI検査の実施機関である放射線医学総合研究所が負担してくれることになり、謝金額の支出が減少した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の研究計画と概ね変更ない配分で次年度中に使用する。ただし、謝金支出額が大幅に浮く見込みとなったのでそれを技術補佐員の雇用に割り当てる予定である。
|
Research Products
(1 results)