2014 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の生活リズムの確立に、身体活動が寄与するか?
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26870104
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小泉 佳右 千葉大学, 教育学部, 准教授 (20425359)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 唾液概日リズム / 身体活動量 / 体温 / 幼児 / 自律神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児期は生活習慣の形成に非常に大切な時期であり、生活習慣の形成のためにはリズムのある生活を送っているかどうかは重要である。本研究では、「幼児期の生活リズムの確立に身体活動が寄与する」という仮説に対する科学的知見を得るために、幼稚園年長児を対象にして、概日リズムを持つ唾液マーカーや体温の変動と身体活動量との関係性を調査することを、最終的に明らかにすることを目的とする。 多くの内分泌物質で概日リズムを示すことはよく知られている。概日リズムを示す内分泌マーカーである、コルチゾール、分泌型免疫グロブリンA(sIgA)及びメラトニンは、簡便で非侵襲的な手法である唾液採取法により測定が可能である。しかしながら、幼児期において成人と同様の概日リズムを示すかどうかは不明である。 本研究は2段階に分けて実験を遂行している。まず研究1では、幼児への負担が少ない手法である唾液マーカーや体温を用いた、概日リズム評価法を確立する。その手法を用いて、研究2では、身体活動量と生体マーカーの変動との関係性を調査する。これらにより、幼児の生理的な生活リズムを確立するための、身体活動の有効性について検証する。 現在は研究1の目的である幼児の概日リズム評価法を確立するために、成人で確立されている概日リズムを示す生理的指標である、唾液中コルチゾール、sIgA及びメラトニンや体温を、成人と幼稚園年長児との双方から計測している。また、規則正しい生活リズムに関与すると考えられる心臓自律神経系機能も測定し、その機能も評価している。現在データ収集中であり、検体数が評価するうえでの適正数を確保できたら、成人と幼稚園年長児のデータを比較検討し、幼児でも概日リズムを評価可能な指標を特定する。その後、その指標を用いて、研究2の身体活動量との関係性を調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、「幼児期の生活リズムの確立に身体活動が寄与する」という仮説に対する科学的知見を得るために、幼児を対象にして、概日リズムを持つ唾液マーカーや体温の変動と身体活動量との関係性を調査することを目的としている。そのため、研究を2段階に進め、まず研究1では成人と幼児の唾液中コルチゾール、IgA及びメラトニン濃度、及び鼓膜温測定を、1日を通して測定しそれを比較することで、成人で概日リズムを示す生体マーカーが幼児においても適用できるか調査をしている。 研究1については、当初の予定では全体を終わらせることが予定であったが、計測に参加する協力者が少なく、比較検討のために必要な検体数を確保することができなかった。しかしながら、協力を得られた対象者の全てのデータはすでに分析を終了している。 一方で、分析対象者を確保するために協力依頼している千葉大学教育学部附属幼稚園とも連携し、新たな協力者を募ることになっており、順調に達成できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2段階のうち研究1については早急に進め、成人と幼稚園年長児のデータを比較検討し、幼児で概日リズムを評価しうる指標を明らかにする。その後、その指標を用いて、研究2の身体活動量と生体マーカーの変動との関係性を調査することとする。 研究が終了次第、社会への公表のために、学会発表及び論文投稿の準備を進める。学会発表は翌年度のAmerican College of Sports Medicine Annual Meetingあるいは日本体力医学会大会、論文はJournal of Applied Physiologyあるいは体育学研究への投稿を目指す。また、インターネットを利用しての社会的発信という方法も検討する。
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