2014 Fiscal Year Research-status Report
piRNA生合成におけるMaelstromの分子作用機序の解明
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26870112
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 薫 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20548507)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | piRNA / トランスポゾン / RNAサイレンシング / ゲノム / RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
piRNA (PIWI-interacting RNA)は、生殖細胞特異的に産生される小分子RNAであり、塩基配列特異的に標的RNAに作用することでレトロトランスポゾンなどの発現を負に制御し、生殖細胞のゲノムの品質管理を担っている。piRNAが産生されないと減数分裂が進行せず、卵や精子が正常に形成されなくなり、種の保存は成立しなくなる。piRNAはmicroRNAや内在性siRNAといった小分子RNAとは独立した経路によって産生されていることが報告されているものの、未だ充分な知見は得られていない。本研究では、カイコ生殖細胞におけるpiRNA生合成経路に焦点を当て、その生合成に必須な因子Maelstromの分子作用機序を包括的に理解することを目指している。本研究の具体的な目的は、Mael-RNA複合体に着目し、Maelがどのような分子機構によってpiRNA生合成を制御しているのかを明らかにすることである。そこで、研究期間内では、以下の2点について解析を進めている。①HITS-CLIP法を用いたMael相互作用RNAの解析、②Mael相互作用タンパク質の同定と解析。①については、CLIP法の条件検討を行っており、作成した抗Mael抗体が有効な条件が揃いつつある。②については、抗Mael抗体などを用いた免疫沈降実験と質量分析(MS)解析により結合タンパク質を同定できた。現在これらのMaelとの機能的な相互作用機序の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①HITS-CLIP法を用いたMael相互作用RNAの解析については、作成した抗Mael抗体が有効な条件が揃いつつあり、近くこの条件を用いたライブラリーを作成に着手できると考えている。②Mael相互作用タンパク質の同定と解析については、抗Mael抗体などを用いた免疫沈降実験と質量分析(MS)解析により結合タンパク質が同定できており、現在これらの局在や、それぞれをノックダウンした場合のMaelの分子挙動といったMaelとそれらタンパク質との機能的な相互作用機序の解析を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、①、②ともこのまま解析を進める。①については、単離したRNAのライブラリーの作成と次世代型シークエンサーを用いた配列解析を行う。②については、相互作用タンパク質間の相互依存性についてノックダウン法を用いて調べる。また、相互作用タンパク質ノックダウン時それぞれの局在パターンについても解析を進める。これらの関係性の解析に加えて、①と関連して、相互作用タンパク質ノックダウン時のMael相互作用RNAの変動についても解析を試みたいと考えている。
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