2015 Fiscal Year Research-status Report
野生イネイントログレッション系統を用いた玄米栄養の改変および分子マーカーの作製
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26870116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 良弘 東京大学, 農学生命科学研究科, 特任助教 (20398390)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 野生イネ / 玄米 / 遊離アミノ酸 / ミネラル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,野生イネの遺伝資源を利用して,玄米中の栄養価が高いイネ系統の単離,および次世代シーケンサーを用いた遺伝子座の同定・分子マーカーの作成を目指している.これまで,玄米中ミネラルに注目し,鉄,亜鉛などの玄米中含有量が有意に増加している系統を単離している. 本年度は玄米中遊離アミノ酸含有量について, 3 年分のデータから有望系統を選出した.Oryza glaberrima イントログレッション系統では,高リジン系統 1 系統,高トレオニン系統 4 系統が得られた.O. meridionalis イントログレッション系統では,高リジン系統,高トレオニン系統を各 1 系統得る事ができた.O. glumaepatula イントログレッション系統では,高トレオニン系統を 1 系統得る事ができた.O. longistaminata イントログレッション系統では, 高リジン系統を 9 系統,高トレオニン系統を 2 系統得る事ができた. また,遺伝学的解析のために,これら選抜系統の内,複数系統の F2 を圃場に展開し玄米のサンプリングを行った. さらに、玄米中の亜鉛およびホウ素濃度が高い LON30 系統について MutMap Plus ならびに QTL-seq 解析を行い,玄米中ミネラル高含有の原因となるゲノム領域を明らかにすることができた.また,それらゲノム領域において,栽培イネと野生イネイントログレッション系統を識別するための変異リストを作成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生イネイントログレッション系統から玄米中ミネラル,および遊離アミノ酸の含有量が多い系統を単離する事ができ,また,それら系統の F2 において,表現型の分離が見られ,さらに MutMap Plus 解析によって候補領域が得られたため. 本年度の成果は,申請者が遂行している玄米中ミネラルや遊離アミノ酸含有量について,遺伝学的解析が可能であることを強く示唆している。さらに,これまでの QTL 解析とは異なり,本研究では次世代シーケンサーを用いた全ゲノム規模での変異抽出を行っているため,野生イネゲノムが持つ変異の迅速な同定が可能であり,本研究の最終目標である分子マーカーの作成に向けて重要なデータを取得する事ができたことも,「おおむね順調に進展している」を選んだ理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,遺伝学解析に重点をおいて研究を遂行する予定である. F2 における表現型の分離調査を複数系統について行うと共に,MutMap Plus 解析等により原因となる遺伝子座の同定および分子マーカーの作成を行う.
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Causes of Carryover |
論文投稿料として利用予定をしていたが,投稿論文が現在リバイス中のため,まだ投稿料金として使用していないため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度,論文の投稿料として使用する.
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Research Products
(2 results)