Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、野生イネの遺伝資源を利用して栽培イネの玄米栄養を改変すること目指し、1. 野生イネイントログレッション系統から玄米栄養が高い系統を単離する、2. 玄米栄養が高い野生イネイントログレッション系統を栽培イネの育種に利用するための分子マーカーを作成する、ことを目的に研究を行なった。 1. では、アジア、アフリカ、オセアニア、および中南米に自生する 5 種の野生イネから作成された野生イネイントログレッション系統、256 系統について 2 年分の玄米中ミネラル (B, Mn, Fe, Cu, Zn, Mo, Na, Mg, P, K, Ca) を、また、148 系統について 3 年分の玄米中の遊離アミノ酸 (His, Arg, Asn, Ser, Gln, Gly, Asp, Glu, Thr, Ala, Pro, Tyr, Val, Met, Lys, Ilu, Leu, Phe, Trp) を測定し、各栄養成分の玄米中濃度が有意に増加、または減少している系統を単離することに成功した。 2. では、1. で得られた系統の内、玄米中ミネラル濃度 (B および Fe) が高い 3 つの野生イネイントログレッション系統から作成した F2 集団による MutMAp+ 解析を行なった。その結果、栽培イネの玄米中 B および Fe を増加させる野生イネ遺伝子座を明らかにすること、さらに、これら野生イネイントログレッション系統を育種に利用するための分子マーカーの作成に成功した。 本研究で遺伝子座を同定し、分子マーカーの作成に成功した 3 つの野生イネイントログレッション系統に加えて、本研究 1. の成果もまた、今後のイネの栄養成分育種において有用な情報を提供している。そのため、本研究を通じて、イネの栄養成分育種の発展に貢献する成果が得られたと考えられる。
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