2015 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ基で修飾されたナノカーボンを利用した遷移金属錯体の合成と反応性
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26870120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 一成 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10709471)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光誘起電子移動 / ラジカル / ラジカルカチオン / 炭素-炭素結合切断 / 芳香環の官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
光誘起電子移動を鍵反応とする有機合成反応は、反応性が高く、制御が困難なラジカル種を簡便に発生できることから、有用な合成手法といえる。これまで、我々のグループでは光誘起電子移動によるアミンの一電子酸化を鍵としてα-アミノアルキルラジカルを発生させ、これを用いた有機合成反応を行ってきた。特に最近では、フラーレンやコラニュレンといった大きなπ共役系の官能基化に成功している。 この手法は、アミンの一電子酸化を鍵として、アミンの隣接位置にラジカル種を発生させることができる。今年度は、この手法をさらに拡張して、アミンの一種である4-アルキル-1,4-ジヒドロピリジンの一電子酸化に着目した。4-アルキル-1,4-ジヒドロピリジンを一電子酸化すると、ピリジンへの芳香族化に伴って、炭素-炭素結合が切断し、任意のアルキルラジカルを発生することができる。 そこで、今回、この新規手法を新たな有機合成反応へと応用することを目的に研究を行った。その結果、4-アルキル1,4-ジヒドロピリジンをアルキル化試薬とする、シアノアレーン誘導体の芳香族置換反応の開発に成功した。この反応では、光誘起電子移動過程によって生成したラジカルアニオンとラジカルカチオンがそれぞれ生成することで反応が進行する。これら高反応性の中間体を活用することで本反応では2つの異なる炭素-炭素結合を切断し、新たな炭素-炭素結合を生成する興味深い反応を見出すことができた。
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