2014 Fiscal Year Research-status Report
卵巣粘液性腺癌の発生と進展に関する病理遺伝子学的研究
Project/Area Number |
26870129
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
前田 大地 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30585500)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 卵巣粘液性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は卵巣粘液性腺癌の前駆病変である卵巣粘液性嚢胞腺腫に関して詳細な検討を行った。具体的には130例の卵巣粘液性嚢胞腺腫を対象として、背景病変(子宮内膜症、奇形腫、ブレンナー腫瘍)の有無、CLDN18, ER, CDX2といった蛋白の発現等を検討した。その結果、卵巣粘液性嚢胞腺腫にはgastrointestinal typeとMullerian typeの2種類が存在することが判明した。前者が全体の90%を占めており、粘液性腺癌の背景に高頻度に認められることから、研究のフォーカスを「gastrointestinal typeの上皮が卵巣に生じる過程とgastrointestinal typeの上皮が悪性化していく過程」に絞る方針とした。Gastrointestinal typeの腫瘍の約1割は奇形腫と併存しており、奇形腫から生じた可能性が示唆される。一方、ER陽性のMullerian typeの上皮からgastrointestinal typeの上皮への移行像も確認され、Mullerian-gastrointestinal transitionが極めて重要だと考えられた。そして、このtransitionに関与する遺伝子異常の探索を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵巣粘液性腺癌の発生、進展において、Mullerian-gastrointestinal transitionが重要であることを突き止めたことは大きな前進である。
|
Strategy for Future Research Activity |
特にMullerian typeの上皮がgastrointestinal typeのphenotypeを獲得する点に注目して検討を行っていく。具体的には内膜症性上皮や卵巣表層上皮とgastrointestinal typeの粘液性腫瘍の上皮に関して、それぞれの遺伝子発現、遺伝子変異、マイクロRNA異常を検討する。また、粘液性腫瘍が悪性化していく過程で、これらの要素がどのように変化するかにも着目して検討を進める。
|
Causes of Carryover |
2015年3月に計上した学会参加旅費が、当初予定していたよりも低く抑えることができたことから、繰り越しが生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子変異検索のための消耗品に用いる予定である。
|
Research Products
(7 results)