2015 Fiscal Year Annual Research Report
南米アンデス・アイマラ語の口承資料の採録・回復と分析
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26870130
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤田 護 慶應義塾大学, 環境情報学部, 講師 (50726346)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 先住民言語 / 口承文学 / オーラルヒストリー / 言語接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年度にわたって実施した研究の最終年度においては、ここまでの研究成果をまとめつつ、新たな展開に向けた布石を置くことに取り組んだ。 これまでの研究成果としては、本研究で取り組んだ20世紀前半のボリビアにおける先住民運動であるカシーケス・アポデラードスの運動についてのオーラルヒストリー資料について、これまで進めてきたその資料の意義と読みの可能性についての考察を前進させ、現地で開催されたボリビア研究学会(Asociacion de Estudios Bolivianos)の大会においてスペイン語で成果を報告するとともに、日本語ではジャーナル論文の形でまとめ、発表した。 また、アイマラ語の口承文学の資料整理についても順調に進めることができ、原文対訳をアイマラ語とスペイン語と日本語で整備するとともに、その最初の成果をテクストに関する考察を含めて日本の査読付ジャーナルに投稿し、発表した。 同時にこれらの資料におけるアイマラ語におけるスペイン語からの借用語の使用についても考察を進め、アンデス・スペイン語に関する国際集会において研究発表を行った。 それぞれの分野において調査自体の進展もあった。カシーケス・アポデラードスの運動に関しては、資料の被インタビュー者のうち90歳を超え唯一存命の者一人を訪問することができ、二度にわたって長いインタビューを実施した。これは時期を隔てた追加調査として、また今では少なくなってしまったアイマラ語の単一言語話者のお年寄りへの聞き取り調査として、貴重な価値をもつものであり、引き続き聞き起こしと翻訳と考察に取り組んでいる。それ以外にも、口承文学に関する聞き取り調査が本年度も進展し、さらなる資料の充実を実現することができた。
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