2015 Fiscal Year Research-status Report
近現代日本における古典文学の受容と関連文化財の評価の連動性
Project/Area Number |
26870132
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 久美子 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (10647994)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 日本美術 / 在外コレクション / 『源氏物語』 / 『平家物語』 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に自身が公表した研究内容そのものは、国際日本文化研究センターでの『平家物語』についての口頭発表1件にとどまったが、平成28年度刊行予定の論文を2件執筆したたほか、ベルリン東洋美術館、ケルン東洋美術館、大英博物館などを訪問し、今後の研究へと繋がる国内外の日本美術コレクションの調査・見学を実施した。19世紀から20世紀初頭にかけてのドイツ、イギリス、アメリカの主な東洋美術コレクションの蒐集方針と日本文学の海外における評価の関係についての調査の結果を近々にまとめる予定である。 研究計画では『源氏物語』と和歌、記紀神話を主な研究対象として挙げたが、平成27年度に開催された林原美術館の「平家物語絵巻」展、九州国立博物館での「祈りのかたち 八幡」展にも触発される形で、『平家物語』および八幡信仰とそれらに題をとる美術作品の評価についても研究する機会を得て、文学作品と美術の関連性を問うテーマの視野を広げることができた。 また、ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院(SOAS, The School of Oriental and African Studies)にて開催された国際シンポジウム「境界の解体:「東アジア美術史」は可能なのか」"Deconstructing Boundaries: Is 'East Asian Art History' possible?"に参加したことで、国際的な視野に基づく日本研究のヒントを得たほか、海外の日本研究者との交流の機会を得ることもできた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家族の入院、死去という事情により、平成27年度は研究の時間が限られる部分があり、平成28年3月には、国際シンポジウムへの参加をやむを得ず1件見送る結果となった(カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA, University of California, Los Angeles)「前近代日本における《世界》の想像」"Imagining the World in Pre-Modern Japan")。そのため予算の繰り越しも生じたが、本研究課題の最終年度となる平成28年度は、これまでの進捗状況の遅れを取り戻しつつ、研究の総括を行いたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に実施した在外東洋美術コレクションの調査結果をまとめること、平成26年度に行った日本比較文学会東京支部例会での『源氏物語』の近代における評価についての研究発表を活字化すること、そして和歌と書の評価の関連性を論じる研究を進めることの3点を主軸として、本研究の総括を行う。『古今集』を中心とするテーマでの研究発表はすでに内定しており、平成28年7月には、ウィーンで開催される国際比較文学会(ICLA, International Comparative Literature Association)に参加予定である。
|
Causes of Carryover |
研究進捗状況の報告欄にも概要を記したが、平成27年度は家族の入院、死去という事情があり、平成28年3月に予定していたロサンゼルス出張を出発直前にキャンセルせざるを得ない形となった。本来は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA, University of California, Los Angeles)での国際シンポジウム「前近代日本における《世界》の想像」"Imagining the World in Pre-Modern Japan"に参加し、パシフィックアジア美術館における東洋美術コレクションの調査を行う予定であった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに参加が内定しているウィーンでの国際比較文学会大会への出張費が必要となるほか、活字化が遅れているこれまでの研究発表の内容をまとめるための調査費用として活用予定である。
|