2014 Fiscal Year Research-status Report
染色体異数性による転写調節異常機構の解明:パリスターキリアン症候群をモデルとして
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26870139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉 幸佑 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (40383707)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | モザイク染色体異常 / 遺伝子発現解析 / ゲノムワイド解析 / エピゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
パリスターキリアン症候群(PKS)における転写異常を確認するために、患者由来皮膚線維芽細胞を用いて、ゲノムワイド遺伝子発現解析を行った。その結果、PKS患者に特徴的な遺伝子発現パターンを同定した(Kaur M*., Izumi K*.et al. (2014) “Genome-Wide Expression Analysis in Fibroblast Cell Lines from Probands with Pallister Killian Syndrome” PLoS One. 2014 Oct 16;9(10):e108853. *equal contribution)。PKSで発現の変動している遺伝子には、ZFPM2, GATA6, IGFBP2といった遺伝子が含まれ、これらの遺伝子発現変化がPKSの病態に関与している可能性が示唆された。次に、PKS患者血液を採取し、IGFBP2タンパク値を計測したところ、PKS患者で高値を示し、PKSの成長障害に関与している可能性が明らかになった(Izumi K. et al. (2015) “Elevation of Insulin-Like growth Factor Binding Protein-2 Level in Pallister-Killian Syndrome: Implications for the Postnatal Growth Retardation Phenotype” Am J Med Genet A. in press)。 PKSにおける遺伝子発現異常における、12番染色体短腕に座位するmicroRNAの関与を調べるために、12pに存在するmicroRNAレベルを患者由来皮膚線維芽細胞で測定した。すると、全てのmicroRNA発現が上昇していたが、その中でも、miR-1244の発現上昇が一番顕著であった。そして、miR-1244のターゲットと考えられているMEIS2遺伝子の発現もmiR-1244発現レベルと逆相関し低下していた。以上からPKSの遺伝子発現異常の一部にmicroRNA発現異常が関与している可能性を明らかにした(Izumi K.et al. (2014) “12p microRNA expression in Fibroblast Cell Lines from Probands with Pallister-Killian Syndrome” Chromosome Res. 22(4):453-461 )。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子発現解析研究は順調に進行している。患者由来細胞を用いた更なるRNA-seqを用いた遺伝子発現解析が進行中である。エピゲノム修飾を調べるためのメチル化解析、ChIP-seq解析も進行中である。しかしながら、マーカー染色体を不活化するためのゲノム編集操作・XIST遺伝子導入に難渋している。さらに、患者由来皮膚線維芽細胞のクローニングに難渋している。これは、ヒト皮膚線維芽細胞が限界希釈法による細胞クローニングに不向きであるためと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト皮膚線維芽細胞が限界希釈法による細胞クローニングに不向きであると考えられるため、患者由来のリンパ芽球細胞株といった、他の組織由来の細胞を用いて、更なる遺伝子発現解析を行っていく予定である。更に、クローニングを行わずに、1細胞からのトランスクリプトーム解析も試みる予定である。
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Research Products
(5 results)