2014 Fiscal Year Research-status Report
個体の外的環境に対する体性感覚神経の感覚受容メカニズムと情報伝達経路の解明
Project/Area Number |
26870154
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪内 朝子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 研究員 (40713566)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 1次体性感覚マップ / 体性感覚神経細胞の形態観察 / 体性感覚神経細胞の軸索投射パターン / 体性感覚神経細胞の機能解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度として、「成虫体性感覚神経細胞の同定と形態学的観察」を挙げていたが、この1年間で計画を達成することができた。具体的には、胸腹部分の体表や脚、翅、平均棍にある体性感覚細胞を個別にラベルすることができる発現誘導系統のスクリーニングを終了した。また、これら発現誘導系統を用いて、膜結合型蛍光タンパク質を発現させ、個別の遺伝子発現パターンを有する体性感覚受容細胞の微細な細胞形態を、高感度高解像度の共焦点顕微鏡を用いて個体内で観察した。 また、体全体にある異なる種類の体性感覚細胞から受け取る情報が中枢神経のどの領域に投射しているのかを明らかにすることが、もう1つの目標であったが、それぞれの体性感覚細胞の軸索投射パターンを明らかにすることができた。また、これら個別の軸索投射パターンを元に中枢神経系での1次体性感覚マップを作成することができた。各神経ごとに1次体性感覚野が異なること、つまり、この1次体性感覚が中枢神経でマップが存在することを見いだしたことは、新規の発見である。 さらには、体性感覚細胞を個別にラベルすることができる発現誘導系統のスクリーニングと同時に、体性感覚細胞と結合が予想されるいくつかの2次神経も同定することができた。この2次神経の同定は、当初の計画以上の進展である。 ここまでの研究結果について、平成26年6月のショウジョウバエ研究集会や、7月の国際神経行動学会/日本比較生理生化学会合同大会、9月の日本神経科学大会で発表することができた。 平成26年度後半から平成27年度の計画として、「成虫体性感覚神経細胞の機能解析」を挙げていたが、そのうちの光受容チャネルタンパク質ロドプシンを用いた神経細胞の活動操作、さらには刺激に対する成虫の行動パターン観察を行うためのセットアップが完了し、プレリミナリー実験を行うまでに至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度として、「成虫体性感覚神経細胞の同定と形態学的観察」を挙げていたが、この1年間で、胸腹部分の体表や脚、翅、平均棍にある体性感覚細胞を個別にラベルすることができる発現誘導系統のスクリーニングを終了した。また、個別の体性感覚受容細胞の微細な細胞形態を、高感度高解像度の共焦点顕微鏡を用いて個体内で観察した。さらには、体性感覚細胞の軸索投射パターンを明らかにし、中枢神経系での1次体性感覚マップを作成することができた。 また、当初の計画にはなかったが、体性感覚細胞を個別にラベルすることができる発現誘導系統のスクリーニングと同時に、体性感覚細胞と結合が予想されるいくつかの2次神経細胞群も同定することができた。この2次神経の同定は、当初の計画以上の進展である。 平成26年度後半から平成27年度の計画として、「成虫体性感覚神経細胞の機能解析」を挙げていたが、そのうちの光受容チャネルタンパク質ロドプシンを用いた神経細胞の活動操作、さらには刺激に対する成虫の行動パターン観察を行うためのセットアップが完了した。 以上の進捗状況から、交付申請書に記載した平成26年度の「研究の目的」は全て達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度後半から平成27年度の計画として挙げている、「成虫体性感覚神経細胞の機能解析」を今後も続ける。具体的には、既に、そのうちの光受容チャネルタンパク質ロドプシンを用いた神経細胞の活動操作、さらには刺激に対する成虫の行動パターン観察を行うためのセットアップが完了しており、プレリミナリー実験を行うまでに至っている。平成27年度の目標として、これまでに同定した各体性感覚細胞をラベルすることができる発現誘導系統を用いて、光受容チャネルタンパク質ロドプシンを用いた神経細胞の活性化、または、ShibireやTetanus Toxinを用いた神経細胞の機能阻害などを行った時の行動パターンを観察し、個別の体性感覚細胞の機能解析を行う。 さらには、体性感覚細胞と結合が予想されるいくつかの2次神経細胞にも同様の方法で神経活動操作を行い、候補の2次神経細胞が、それぞれの体性感覚細胞と実際機能的結合をしていることを明らかにする。 また、体性感覚神経に物理的刺激を与えた時に、実際その刺激に応答するかどうかをGCaMPなどのカルシウムセンサーを用いて神経細胞活動を観察する。
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