2014 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド透過波実験による断層イメージング手法の検証
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26870156
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉光 奈奈 東京大学, 情報学環, 特別研究員(PD) (20724735)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 透過弾性波 / 透過弾性波 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震発生時に断層帯で亀裂が増加する可能性が示唆されているが,地中深くの断層の破砕度の直接モニターや,観測から推定された破砕域の正確性の検証は難しい.そこで,実験室における透過弾性波を用いたモニタリング手法と波動伝播シミュレーションという二手法を融合させることで,破砕域イメージング手法の高精度化・効率化に向けた,既存の破砕域イメージング手法の検証をする.初年度は,実験波形の取得のための試料準備と三軸圧縮試験の実施,試料コーティング手法の改良を行った.まず,研削盤でセンサ貼付面を作成するために花崗岩試料の表面研磨を行った.広帯域の圧電素子を小型の金属ケースにより保護して試料研磨面に貼付し,熱収縮シリコンチューブをかけ,さらにその上から液状シリコンによって保護した.この段階で三軸圧縮試験を行い,荷重20kNごとに弾性波を透過させながら,7観測点,20Mspsで一時間以上にわたる連続波形集録に成功したものの,シリコンによるコーティングが破れ,実験中に油が試料の中に浸入してしまう問題が発生した.そこで,この問題を解決するために,シーリングの完全性を確かめるテストを行った.シリコンを塗布する際に気泡が混入し,封圧によって気泡がつぶれることでシーリングが破れ,油が侵入すると推測された.気泡混入は,センサに近い複雑な表面形状の部分で確認されたため,あらかじめ硬めのシリコンで複雑な形状の凹凸を埋めることにした.また,試料全体にシリコンでのコーティングを行う際には,時間をかけて脱気を行う,曲面にも厚みを持ってシリコンを塗るために,数回に分けて塗布する,といった工夫をした.その後,改めて耐圧試験を行ったところ,油の浸入は確認されず,改良したシリコン塗布手法の有効性が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析に使用できる透過波形の集録には至らなかったものの,弾性波を繰り返し透過させることと,長時間にわたって中断なく連続的に波形を集録することに成功し,実験データ取得の準備が整った.当初の計画でも実験完了まで複数年かかる見込みであったため,研究は予定通り進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
実験室では,今年度に確立した試料の準備手法を用いて透過波計測試験を実施する. また,差分法を用いた波動伝播シミュレーションにより,実験で取得した様々な波線を持つ波形の再現を試み,実験で取得した波形との比較を試みる.
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Causes of Carryover |
試験機が使用できる日数が限られていたことと,手持ちの部品を使うことによって,実験に必要な消耗品の購入がやや少なくなったため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度購入しなかった消耗品等を購入し,実験で使用する予定である.
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