2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来膵島の形成メカニズム解析と高効率誘導系の開発
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26870158
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 亜美 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 研究員 (40611421)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | iPS / 膵臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当研究室で確立したヒトiPS細胞からの三次元膵島形成系において、① 膵島前駆細胞から膵島様構造形成に至るまでのメカニズムを理解し、得られた知見を元にした系の再構築 ② ヒト膵島前駆細胞を無尽蔵に増やす系の開発を行い 、in vitroでのヒトiPS膵島形成効率を劇的に向上させることを目的として研究を行っている。当研究室の系では、iPS細胞から内分泌前駆細胞まで膵臓発生ステージを模倣した分化誘導を行う。この細胞を分散させたのちに分化支持細胞シート上に撒き直す。このことで機能的な膵島様構造が形成されることを確認している。しかし、この培養系でなぜ機能的な膵島形成ができるのか不明である。以上の事から、本誘導系における膵島形成過程を詳細に解析することで、in vitroにおける膵島の形成メカニズムを理解することを目的として研究を行ってきた。平成26年度はヒトiPS細胞由来の内分泌細胞が膵島系細胞に分化する過程の観察を行った。内分泌前駆細胞マーカー、内分泌細胞マーカー発現ベクターを組み込んだヒトiPS細胞を用いて実験を行った。本細胞を分化誘導することで内分泌前駆細胞を80%以上含む内分泌前駆細胞塊を作成することに成功した。内分泌前駆細胞塊が膵島系細胞に分化する過程をインキュベーター共焦点顕微鏡にて確認したところ、複数の内分泌前駆細胞が細胞塊内部で集合、凝集する様子が観察できた。この知見を元に、現在、本細胞塊を分散させ、細胞シート上に撒き直すことで膵島を形成する過程を観察する実験を行っている。また、分化フィーダー細胞中の膵島形成を支持する細胞種の同定を行うために、分化フィーダー細胞のシングルセルクローニングを行った。その結果、増殖能を維持する細胞が複数得られ、さらに本フィーダーを用いることで機能的な内分泌細胞を含む細胞塊が得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵島形成過程のメカニズム解析に関連する実験がやや遅れているものの、分化支持細胞の特定に関連する実験は順調に推移している。iPS細胞は株間で分化誘導効率が大きく異なることがよく知られているが、本実験においてマーカー導入iPS細胞を効率的に分化するために系の最適化を図ったことがメカニズム解析の進行に影響を与えた。現在は解決している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の計画書通りに進行する予定である
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Causes of Carryover |
分化誘導系の改良により分化に使用する試薬類に変更が生じ、新規購入が必要となったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬類(低分子化合物、サイトカイン類)に使用する
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