2015 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化単分子膜およびナノ密着層を用いたグラフェンのガラスへの転写
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26870161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤野 真久 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70532274)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフェン / カーボン材料 / 転写 / 自己組織化単分子膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では金属箔上に合成された高品質グラフェンを主に透明電極や極薄配線材としての応用を目指している。そのために、転写対象となる基板へ自己組織化単分子膜(SAM)を形成し、グラフェンを大面積および高品質転写する手法を開発している。 今年度はSAMの選定をさらに広げ、昨年度用いたmonoglycidyl ether-terminated polydimethylsiloxane (b-PDMS-SAM)以外に、シラン基を持つvinyltrimethoxysilane (vinyl-SAM)、2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane (epoxy-SAM)、bis(3- (triethoxysilyl)propyl)tetrasulfide (sulfide-SAM)それぞれを酸化シリコン基板である転写基板へ形成し、グラフェンの転写実験を行った。 転写手順は昨年度と同様、転写基板を親水化処理し、SAMを成膜した後、成長基板ごとグラフェンを対象基板に押下し、加熱脱水後、成長基板を剥離した。 転写基板はレーザ顕微鏡およびラマン散乱分光器により評価した。 その結果、epoxy-SAMが最もグラフェンが転写していた。 しかし、その薄片は100umと小さかった。その理由として、成長基板の金属箔の表面粗さ数umに対し、転写基板は表面粗さが1nm以下であることから、グラフェンの接触面積が成長基板表面粗さの凸の部分のみに限られることが挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は(1)グラフェンとガラスの密着層接合、(2)接合界面の観察、(3)グラフェンのパターニングを計画していた。しかし、前項にも挙げたとおり、SAMによる直接転写では成長基板の表面粗さという制約から、大面積での接合が未だ達成できていない。今後はまず直接転写だけでなく、従来のポリマー等を経由する転写方法で、本研究で目標としている高品質転写が可能であると考えられる、グラフェンの転写の大面積化を目指していく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は直接転写の見直しを図り、従来のポリマー等を経由する転写方法でSAM成膜した基板へのグラフェンの転写の大面積化を試みる。 また、SAM膜およびナノ密着層を用いる方法で転写したグラフェンの高品質度を評価するため、電極パターニング後、ホール測定を主とした電気特性評価を行う。 後に、グラフェンをガラス基板にパターニング転写し、サブミクロン幅でのグラフェンによる配線と電極の試作デバイスを試作し、本課題である密着層を用いた転写がグラフェンの高品質転写が可能であることを検証する。
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Causes of Carryover |
本研究で使用する消耗品などの価格改定が行われ、購入額が変化したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入量を調整する予定。
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Research Products
(2 results)